モロッコ溶岩クレイは、日本化粧品工業会の「化粧品の成分表示名称リスト」に英名 Moroccan Lava Clay・成分番号557179で収載された化粧品成分で、洗顔料・パック・クレンジングに皮脂や汚れを吸着する粘土として配合される(出典: 化粧品の成分表示名称リスト収載情報)。この成分には、成分表を読むうえで押さえておきたい行き違いが2つある。1つは名前と中身のずれ。「溶岩」と書かれているが、鉱物としての系統は溶岩そのもの(火成岩)ではなく、ベントナイト海シルトと同じスメクタイト系の粘土鉱物にあたる。この表示名で流通する代表例であるガスールの産地・ジュベル・ラスール鉱床については、粘土画分の主体がマグネシウムに富むスメクタイトのステベンサイトで、湖成堆積物中のドロマイトが続成変質して生じたと報告されている(出典: Jbel Rhassoul 鉱床の鉱物学的研究)。もう1つは呼び名のずれ。日本ではこの粘土は「ガスール」の名で単体商品としても広く流通しており、ナイアードの粉末・固形タイプは全成分表示が「モロッコ溶岩クレイ」の1成分のみ、つまりガスール=モロッコ溶岩クレイ100%という関係になる(出典: ナイアード ガスール製品情報)。検索するときの語と成分表に書かれる語が違う、という状態にあたる。本記事では、この表示名から何が読めて何が読めないのかを起点に、鉱物としての正体、吸着の仕組み、安全性情報の射程(本成分はCIRの評価対象に入っていない)、そしてDappNotes商品マスターで確認できた「同じ成分名でも製品ごとに配合位置が桁違い」という実態を、断定にも貶めにも倒さず中立に整理する。

1. モロッコ溶岩クレイの基本

1.1 何の成分か

モロッコ溶岩クレイは、モロッコで採掘される粘土を原料とする無機の粉体成分にあたる。日本化粧品工業会の「化粧品の成分表示名称リスト」に、日本語表示名称「モロッコ溶岩クレイ」、英名 Moroccan Lava Clay、成分番号557179として収載されている(出典: 化粧品の成分表示名称リスト収載情報)。国内の原料データベースでは「モロッコ産のスメクタイトの一種」「ガスールとも呼ばれ古来から洗髪に使われる伝統的素材」「ミネラル豊富で穏やかな吸着力を持つクレイ」と整理されるのが一般的で、洗顔料・フェイスパック・ボディソープ・シャンプー等に配合される(出典: 国内の化粧品原料データベース各種)。

ここで最初に押さえておきたいのが、表示名称は鉱物名でも成因名でもなく、あくまで収載された名前にすぎない、という点にあたる。「モロッコ溶岩クレイ」という名前からは産地と語感は伝わるが、それが層状ケイ酸塩のどの系統に属する粘土なのかは読み取れない。カオリン・ベントナイトのように鉱物名がそのまま表示名になっている成分なら、書いてある時点で主体の鉱物が分かる。産地・由来を示す名前であるモロッコ溶岩クレイと海シルトでは、成分表だけでは鉱物系統に手が届かない。

では実際の中身はどうか。ここで参照できるのが、この表示名で流通する代表例であるガスールの産地に関する研究にあたる。ガスールの産出地として知られるジュベル・ラスール(Jbel Rhassoul/Jbel Ghassoul)は、モロッコ北東部のムルーヤ平野にあり、行政区分ではフェス=メクネス地方ブールマン州に位置する。この鉱床の粘土を分析した研究では、原鉱がマグネシウムに富む三八面体型スメクタイトであるステベンサイトを主体とし、石英とドロマイトを伴うと報告されている。物性値としては比表面積133 m²/g、陽イオン交換容量75 meq/100 g、主要な交換性陽イオンはマグネシウムイオンで53 meq/100 g という値が示されている(出典: Benhammou ほか 2009)。別の鉱床研究でも、粘土画分の大部分(報告により89〜95%)がステベンサイト型で、随伴鉱物として石英・ドロマイト・ヘマタイト・石膏・カリ長石を含むとされる(出典: Jbel Rhassoul 鉱床の鉱物学的研究)。

ステベンサイトはスメクタイト族の粘土鉱物で、アルミニウムに富む二八面体型のモンモリロナイトに対し、マグネシウムに富む三八面体型にあたる。細かい違いはあるが、骨格は共通する。シリカ四面体シート2枚で八面体シート1枚を挟む2:1型の層状構造をとり、層と層の間に水や有機分子が入り込んで膨潤する、という構造にあたる(出典: CIR 暫定改訂版 Naturally-Sourced Clays 2022)。国内の原料説明が本成分を「スメクタイトの一種」と整理するのは、この骨格を指している。つまり鉱物系統としては、ベントナイト・海シルトと同じ側に並ぶ成分にあたる。

もう一点、名前をめぐって触れておきたいのが成因にあたる。国内の流通・原料説明では「モロッコ・アトラス山脈産の火山性粘土」と紹介されることが多い(出典: 国内の化粧品原料データベース各種)。一方、上記のジュベル・ラスール鉱床を対象とした地質学の研究では、第三紀の淡水〜汽水の湖成環境で堆積したドロマイトが続成変質してステベンサイトに置き換わったと報告されており、こちらは湖底の堆積物という説明になる(出典: Chahi ほか 1999 ほか)。どちらが正しいかを本記事で断ずることはしないが、少なくとも「溶岩がそのまま砕けて粉になったもの」を思い浮かべると実態からは離れる、とは言える。ここでも結論は同じで、表示名称から鉱物系統や成因を判断することはできない。名前が不適切だという話ではなく、収載名という制度上の性格から来る、読み取れる情報量の限界にあたる。

規制上の位置づけは化粧品成分にあたる。化粧品の成分表示名称リストには収載されているが、医薬部外品表示名称としての収載および有効成分としての承認は確認できなかった。したがって本成分に紐づく承認効能はなく、配合製品での役割は吸着・洗浄補助・剤形づくりを担う基剤にとどまる(出典: 化粧品の成分表示名称リスト収載情報)。

1.2 どんな製品に配合されるか

モロッコ溶岩クレイの配合のされ方は、大きく2通りに分かれる。

1つ目が、粘土そのものを商品にした形にあたる。ナイアードのガスールは代表例で、粉末タイプ・固形タイプの全成分表示は「モロッコ溶岩クレイ」の1成分のみ。水で練ってペースト状にし、洗顔・パック・クレンジング・洗髪・ヘアパック・全身の洗浄・入浴に使う、という使い方が案内されている(出典: ナイアード ガスール製品情報)。同ブランドのフェイスパックのようにチューブ入りに製剤化されたものは、水・モロッコ溶岩クレイ・ペンチレングリコール・グリセリン・ヒドロキシプロピルシクロデキストリン・ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルの6成分構成で、粘土は水に次ぐ2番目に置かれる。日本の消費者がこの粘土に出会う入口は、成分表ではなく「ガスール」という商品名であることが多い、という点がこの成分の特徴にあたる。

2つ目が、洗顔料等の処方の中に一成分として組み込まれる形にあたる。ここからはDappNotes商品マスターの自社集計に入る。当メディアが保有する商品マスター(2026年9月時点・スキンケア54製品/ヘアケア78製品)を機械集計すると、モロッコ溶岩クレイを配合するのは次の4製品で、いずれも洗顔料だった(出典: DappNotes 商品マスター集計)。

商品全成分表での順位全成分数位置(先頭からの割合)
P128 カネボウ スクラビング マッド ウォッシュ5位2124%
P134 プラウドメン クレイフェイスウォッシュ11位3631%
P111 チャップアップ フェイスウォッシュ39位5966%
P085 NILE 濃密泡洗顔 クリーム洗顔せっけん47位6276%

(出典: DappNotes 商品マスター集計)

範囲を広げても傾向は変わらない。カオリン・ベントナイト・海シルト・モロッコ溶岩クレイ・タルク・タナクラクレイのいずれかを含むスキンケア商品は54製品中11製品で、その11製品すべてが洗顔料だった。化粧水・乳液・美容液・日焼け止めには1件も入らない(出典: DappNotes 商品マスター集計)。クレイ系は「洗い流す剤形の成分」という位置づけが、自社データの範囲では明確に出る。

この表で目を引くのが配合位置の落差にあたる。P128 カネボウ スクラビング マッド ウォッシュでは全21成分中5位(上位24%)で、グリセリン・ミリスチン酸・水・水酸化Kに次ぐ位置。石けん系の洗浄骨格のすぐ後ろに来ており、処方の主役級と読める配置にあたる。一方の P085 NILE 濃密泡洗顔では全62成分中47位(76%)で、成分表の末端に近い。同じ「モロッコ溶岩クレイ配合」という表示でも、製品ごとの位置づけは桁違いになる

ここで注意書きを1つ。全成分表示は原則として配合量の多い順に書くルールだが、配合量1%以下の成分は順不同で書いてよい。したがって後半に並ぶ成分どうしの順位は配合量の大小を意味せず、記載位置から配合量を逆算することもできない。順位が低いことが「効果がない」を意味するわけでもなく、少量で機能する役割もある。ここで読み取れるのは、処方の中での位置づけの違い、というところまでにあたる。

もう2つ、この4製品から読める点がある。1つは P134 プラウドメン クレイフェイスウォッシュで、海シルトが12位、カオリンが13位と、モロッコ溶岩クレイ(11位)を含む3種が連続して並ぶ。クレイを1種ずつ選ぶのではなく、ブレンドを1つの塊として配合した処方と読める(出典: DappNotes 商品マスター集計)。もう1つは P085 NILE 濃密泡洗顔で、本クラスタ4成分にタナクラクレイを加えた5種すべてを配合するが、5種とも成分表の55〜81%の後半に集まる。クレイの種類数と、1種あたりの配合量は別の話にあたる

1.3 メンズ視点での見方

男性は皮脂分泌量が女性の約2倍とされるオイリー寄りで、テカり・小鼻の毛穴の黒ずみ・整髪料や汗のべたつきといった悩みから、「しっかり落ちる」洗顔が選ばれやすい(出典: メンズスキンケア専門メディア各種)。吸着系のクレイ洗顔は、この文脈で体感の得やすい選択肢にあたる。実際、上の集計でモロッコ溶岩クレイを配合していた4製品のうち3製品(P085 NILE/P111 チャップアップ/P134 プラウドメン)はメンズ向けに設計されたラインで、残る1製品(P128 カネボウ)もユニセックス区分の洗顔にあたる(出典: DappNotes 商品マスター集計)。

ただしメンズ実用の観点で押さえておきたい注意点が3つある。

1つ目が使い方の側にあたる。クレイの吸着は皮脂を選り好みしないため、必要な皮脂まで持っていく。とくにガスールのようにパックとして使う剤形では、置きすぎ・乾かしすぎ・こすりすぎが乾燥やヒリつきにつながりやすい。男性は皮脂が多い一方で肌内部の水分量は女性の約半分とされ、インナードライに傾きやすい(出典: メンズスキンケア専門メディア各種)。「皮脂が多いからしっかり吸着させる」の積み増しは、裏目に出やすい運用にあたる。

2つ目が髭剃りとの兼ね合いにあたる。毎日の髭剃りで角質と皮脂膜が削られた直後の肌はバリア機能が落ちており、洗浄後のpH回復も遅れやすい(出典: メンズスキンケア専門メディア各種)。髭剃り直後にクレイパックを長く置く運用は避け、時間を空けるか、クレイは洗い流す洗顔にとどめるほうが安全側にあたる。

3つ目が選び方の見方にあたる。産地名で書かれた成分名は語感が強いぶん、訴求として効きやすい。だが §1.1 のとおり、表示名から読み取れるのは産地と由来のイメージまでで、鉱物系統も配合量も分からない。実用的なのは、名前や産地の語感ではなく、剤形(洗顔かパックか)と使い方(置く時間・こする強さ・頻度)、そして洗顔後の保湿までをセットで見る、という順序にあたる。

2. 期待される働き・効果

2.1 メカニズム

モロッコ溶岩クレイが化粧品で担う働きは、化学反応ではなく物理的な現象で説明できる。水に溶けない無機の粉体で、肌に浸透して何かを起こす成分ではなく、粒子の表面と層の間に皮脂や汚れを取り込み、水と一緒に洗い流される、という筋道にあたる。担い手は3つある。

担い手A:粒子表面での吸着。粘土は微細な板状・薄片状の粒子の集まりで、粒径が小さいほど単位重量あたりの表面積が大きくなる。ジュベル・ラスール鉱床の粘土を測定した研究では比表面積133 m²/gという値が報告されており、1グラムの粉体が130平方メートルを超える表面積を持つ計算になる(出典: Benhammou ほか 2009)。この広い表面に皮脂・汚れ・古い角質が付着し、すすぎで持ち去られる。シリカや炭の吸着も原理としては同じ表面現象にあたるが、後述のとおり粘土にはもう一段の仕掛けがある。

担い手B:層の間への取り込み(膨潤)。スメクタイト系の粘土は2:1型の層状構造をとり、層と層の結合が弱いため、水や有機分子が層間に入り込んで膨らむ。膨潤は可逆的で、層間の分子を取り除けば構造は元に戻る(出典: CIR 暫定改訂版 Naturally-Sourced Clays 2022)。ガスールを水で練るとぬるりとしたペーストになり、乾くと縮んで固まるのはこの性質による。表面に貼りつくだけでなく、層の内側にも取り込める、というのがスメクタイト系クレイの特徴で、膨潤しない1:1型のカオリンとの機能差もここに由来する。

担い手C:陽イオン交換。粘土の層内では、本来入るべき原子が別の原子に置き換わることで層に負の電荷が生じ、それを打ち消すために層間に陽イオンが保持されている。この陽イオンは外の陽イオンと入れ替わることができ、その容量を陽イオン交換容量(CEC)と呼ぶ。ジュベル・ラスール鉱床の粘土ではCECが75 meq/100 g、主要な交換性陽イオンはマグネシウムイオンで53 meq/100 g と報告されている(出典: Benhammou ほか 2009)。粘土が「マイナスの電荷を帯びて汚れを引き寄せる」と説明されるのは、この構造を指している。

3つの担い手をまとめると、モロッコ溶岩クレイは次のように整理できる。表面積・膨潤・イオン交換の3つで汚れを抱え込み、界面活性剤とは別の経路で洗浄を助ける粉体、ということになる。石けん系やアミノ酸系の洗浄成分がミセルをつくって皮脂を水に分散させるのに対し、クレイは物理的に「くっつけて持ち去る」側にあたる。実際 §1.2 の4製品はいずれも脂肪酸石けん系の洗浄骨格を持ち、クレイはその上に重ねられている(出典: DappNotes 商品マスター集計)。

なお、粒子が一定以上の大きさを持てばスクラブとして角質・汚れをこすり落とす作用も加わる。P128 カネボウ スクラビング マッド ウォッシュのようにスクラブ剤形を掲げる製品では、クレイと崩壊性のスクラブ粒子が併用される設計になる(出典: DappNotes 商品マスター集計)。ただしこの作用は摩擦を伴うため、「強くこする」方向に振れると刺激側の話になる。

2.2 一般的な効能範囲

モロッコ溶岩クレイは化粧品成分で、医薬部外品の有効成分ではない。日本化粧品工業会の化粧品成分表示名称リストには収載されているが、医薬部外品表示名称としての収載および有効成分としての承認は確認できなかった(出典: 化粧品の成分表示名称リスト収載情報)。したがって本成分に紐づく承認効能は存在せず、配合製品が標榜できるのは化粧品の効能の範囲、ないしは併配合された医薬部外品有効成分の承認効能の範囲にとどまる。

洗顔料・パックの文脈で成立するのは、洗浄という処方事実の説明にあたる。「皮膚を清浄にする」「毛穴の汚れや皮脂を吸着して洗い流す」「肌を整える」といった範囲であれば、化粧品の効能の枠内で説明できる。

一方で明確に踏み越えになるのが次の類の表現にあたる。「毛穴を引き締める」「皮脂分泌を抑制する」「肌の炎症を治す」「体内の毒素をデトックスする」といった表現は、化粧品の効能の範囲を超えるか、そもそも本成分の作用として確認されていない。とくに「デトックス」はクレイ系の訴求で見かけやすい言い回しだが、粘土が肌の表面の汚れを吸着することと、体内の何かを排出することはまったく別の話にあたる。皮膚は体内の物質を排出する器官ではなく、粘土が経皮的に何かを引き出すという機序も確認されていない。

「ミネラル豊富」という説明にも同じ注意が要る。ジュベル・ラスール鉱床の粘土がマグネシウムに富み、交換性のマグネシウムイオンを多く持つことは分析値として報告されている(出典: Benhammou ほか 2009)。ただしそれは鉱物としての組成の話で、そのミネラルが肌に吸収されて働くことを意味しない。ナイアードの製品説明もマグネシウム・カルシウム等のミネラルを含むという成分の記述にとどまり、効能を約束する書き方はしていない(出典: ナイアード ガスール製品情報)。組成の事実と、肌への効能は、それぞれ別に確認されるべき事柄にあたる。

2.3 限界・誤解されやすい点

この成分は名前と流通経路の両方に行き違いの種があるため、誤解も生まれやすい。代表的なものを5点整理する。

1点目が、「溶岩」という語から火成岩そのものを思い浮かべる読み違えにあたる。表示名は「モロッコ溶岩クレイ」だが、鉱物としての系統はスメクタイト系の粘土鉱物で、ベントナイト・海シルトと同じ側に並ぶ。この表示名で流通する代表例であるガスールの鉱床については、湖成堆積物中のドロマイトが続成変質して生じたという成因が報告されており、溶岩が砕けて粉になったという像とは異なる(出典: Chahi ほか 1999 ほか)。ただしこれは「名前が誤っている」という話ではない。表示名称は成分表示に用いる収載名であって鉱物名でも成因名でもなく、そこから鉱物系統を判断できないというだけの話にあたる。

2点目が、同じクレイなら中身も同じだろう、という読み違えにあたる。クレイ系の表示名には鉱物名で書かれるもの(カオリン・ベントナイト)と産地名で書かれるもの(海シルト・モロッコ溶岩クレイ)があり、鉱物系統の分かれ方はこの2つと一致しない。産地名で書かれる2つは鉱物系統ではベントナイトと同じスメクタイト系にあたり、1:1型で膨潤しないカオリンだけが構造の時点で別系統になる(出典: CIR 暫定改訂版 Naturally-Sourced Clays 2022)。「クレイ配合」という一語でまとめると、この差は見えなくなる。

3点目が、ガスールとモロッコ溶岩クレイを別物だと思ってしまう読み違えにあたる。日本の売り場で「ガスール」として売られている粉末・固形の商品は、全成分表示が「モロッコ溶岩クレイ」の1成分だけで構成される(出典: ナイアード ガスール製品情報)。検索するときの語(ガスール)と成分表に書かれる語(モロッコ溶岩クレイ)が違うだけで、指しているものは同じにあたる。逆に言えば、成分表で「モロッコ溶岩クレイ」を見つけたときに、それがガスールと呼ばれてきた素材だと結びつけられる読者は多くない。

4点目が、成分表に載っていれば同じくらい入っている、という読み違えにあたる。§1.2 のとおり、配合位置は5位/21成分から47位/62成分まで分かれた(出典: DappNotes 商品マスター集計)。ただし逆方向の誤解にも注意が要る。1%以下は順不同のため、後半にあることは「微量で意味がない」ことの証明にもならない。読み取れるのは位置づけの違いまでにあたる。

5点目が、吸着力が強いほど良い、という読み違えにあたる。クレイの吸着は皮脂を選ばないため、必要な皮脂まで持っていく。強く吸着させる方向へ積み増すのではなく、剤形と使い方で調整するのが実用的にあたる。

3. 安全性・注意点

3.1 既知の刺激性・アレルギー報告

この成分の安全性を調べるうえで、最初に確認しておくべき事実が1つある。モロッコ溶岩クレイを名指しで評価した公的な安全性評価文書は確認できない、という点にあたる。

化粧品のクレイ系成分については、CIR(Cosmetic Ingredient Review)が2022年10月18日に暫定改訂版報告書『Amended Safety Assessment of Naturally-Sourced Clays as Used in Cosmetics』を公表している。ただしその評価対象は Attapulgite・Bentonite・Clay・Fuller’s Earth・Hectorite・Illite・Kaolin・Montmorillonite の8成分で、日本の化粧品成分表示名称であるモロッコ溶岩クレイと海シルトは、この8成分に含まれない(出典: CIR 暫定改訂版 Naturally-Sourced Clays 2022)。「クレイはCIRで安全とされている」を本成分にそのまま当てはめることはできず、参照できるのは同じスメクタイト系のベントナイト・モンモリロナイトへの評価までにあたる。なお同報告書は公開コメント用のTentative(暫定)版で、最終版ではない。

その同系統に対する結論は、次のように非対称になっている。カオリンのみ、現行の使用実態・使用濃度において安全(safe in cosmetics in the present practices of use and concentration)と但し書きなしで結論される一方、ベントナイト・モンモリロナイトを含む残り7成分は、安全としつつ「偶発的に吸入されうる製品において安全と判断するにはデータが不十分(the available data are insufficient to make a determination that these ingredients are safe in products that may be incidentally inhaled)」という例外が付く(出典: CIR 暫定改訂版 Naturally-Sourced Clays 2022)。

この但し書きの読み方には注意が要る。ベントナイトやスメクタイト系クレイが危険だという評価ではなく、パウダー・スプレー等の吸入されうる剤型についてデータが足りない、という充足度の指摘にあたる。洗い流す洗顔料やペースト状のパックは、そもそも吸入を想定する使い方ではない。§1.2 で見たとおり、クレイ系を配合する11製品はすべて洗顔料だった(出典: DappNotes 商品マスター集計)。

ただし本成分については、この論点が完全に他人事にはならない剤形がある。粉末タイプのガスールにあたる。水に溶く前は乾いた微粉末で、袋を開けて計量する場面では粉が舞う。形式上「偶発的に吸入されうる」状態に該当するため、粉を吸い込まないよう扱うのが無難にあたる。危険性の指摘というより、剤形に応じた一般的な取り扱い上の注意になる。

刺激性そのものについては、国内の原料データベースで「伝統的天然原料で皮膚刺激リスクは低い部類」と整理されるのが一般的にあたる(出典: 国内の化粧品原料データベース各種)。水に不溶の無機粉体で肌に浸透せず、洗浄用途としての使用実績も長い。一方で同じ資料は、精製度と粒子の粗さが使用感に影響するため配合設計で調整される、とも指摘している。刺激の話題になりやすいのは成分そのものの化学的な性質ではなく、粒子による物理刺激(こすりすぎ)と、吸着による脱脂(洗いすぎ・置きすぎ)、という2つの経路にあたる。

アレルギーについては、本成分に固有の感作性の報告は確認できなかった。ただし製品には他の洗浄成分・香料・防腐剤が併配合されており、それらへの個別の反応の可能性は他の化粧品と同様にゼロではない。敏感肌の人は初回にパッチテストで相性を確かめるのが無難、という一般的な注意はここでも当てはまる。

3.2 推奨配合量と過剰配合時のリスク

モロッコ溶岩クレイは「何%配合すると効く」という性質の成分ではない。目的とする吸着量・練り上がりの硬さ・使用感に合わせて必要量が決まる粉体で、配合量そのものより剤形と使い方のほうが体感を左右する。

そのうえで、この成分は配合幅が極端に広い点が特徴にあたる。上限側はガスールの粉末・固形タイプで、全成分表示が「モロッコ溶岩クレイ」の1成分のみ、つまり実質100%の粘土そのものにあたる(出典: ナイアード ガスール製品情報)。下限側は洗顔料の成分表の末端で、DappNotes商品マスターの集計では P085 NILE 濃密泡洗顔の47位/62成分(76%)が最も後ろだった(出典: DappNotes 商品マスター集計)。同じ表示名で、100%から成分表の末尾までが同居する。

公的な使用実態データについては、本成分名義では存在しない。CIRの天然由来クレイ評価が参照する米FDAのVCRP届出件数・最大使用濃度はINCI名の単位で集計されており、日本の表示名称であるモロッコ溶岩クレイの数字はそこにない(出典: CIR 暫定改訂版 Naturally-Sourced Clays 2022)。参考として、同系統のベントナイトはリーブオン製品での最大使用濃度8%(スキンケア製剤)と報告されているが、これはあくまで別成分の数値にあたる。

「過剰配合時のリスク」を考えるうえで実態に即しているのは、配合量そのものではなく接触の条件にあたる。粘土の吸着は皮脂を選ばないため、同じ製品でも、置く時間が長いほど・こする力が強いほど・使う頻度が高いほど、脱脂は進む。パック用途で乾き切るまで放置すると、水分が飛ぶ過程で肌側からも水分を引く方向に働く。ガスールを使う場合に「乾き切る前に洗い流す」「頻度を空ける」といった使い方が案内されるのは、この性質による。

したがって、成分表でモロッコ溶岩クレイの記載位置を気にする実益は限られる。上位にあれば粘土の質感が前に出る処方、後半にあれば感触調整や訴求の一部、という読み分けの手がかりにはなるが、記載位置は配合量を保証しないし、肌への刺激の強さを予告するものでもない。見るべきは剤形(洗い流す洗顔か、置くパックか)と、製品側が案内する使用時間・頻度にあたる。

3.3 「危険性」と言われる根拠と実態の整理

モロッコ溶岩クレイについて語られる不安は、大きく3系統に分けられる。それぞれ、根拠として提示される事実がどこまで正しく、どこから話がずれるのかを分けて整理する。

系統1:「溶岩」「火山性」という語感から来る不安。溶岩や火山灰と聞くと、鋭い粒子で肌を削るのではないか、という連想が働く。ただし §1.1 のとおり実体は粘土鉱物で、微細な板状・薄片状の粒子として水を含んで柔らかくなる側に属する。表示名の語感と鉱物としての性状は一致せず、語感から鋭さを想像することも柔らかさを想像することも、どちらも表示名からは導けない。

系統2:「クレイは吸着力が強いから肌に悪い」という不安。この系統には妥当な部分が含まれる。粘土の吸着は皮脂を選ばないため、パックで置きすぎたり強くこすったり頻度を上げすぎたりすれば、乾燥・つっぱり・ヒリつきは実際に起こりうる。ここは擁護すべきではない。ただし体感の主体は成分の危険性ではなく接触の条件にあたる。同じ粘土でも、洗顔として短時間で洗い流すのと、パックとして数分置いて乾かすのとでは、肌に起きることの量がまるで違う。実用的な結論は、成分名を避けることではなく、剤形と使い方(時間・力・頻度)を調整することになる。

系統3:公的な安全性評価をめぐる混同。ここが本成分でとくに整理の必要な論点にあたる。「クレイはCIRが安全と評価している」という説明を見かけるが、§3.1 のとおり評価対象8成分にモロッコ溶岩クレイは含まれない(出典: CIR 暫定改訂版 Naturally-Sourced Clays 2022)。同時に、その裏返しの「評価されていないから危険」も成り立たない。日本の化粧品成分表示名称と、CIRが評価するINCI名の枠組みが別だ、というだけの話にあたる。

以上を整理すると次のようになる。

論点根拠として正しい部分ずれている部分
「溶岩」という名前化粧品成分表示名称リストに収載された正式な表示名である鉱物系統はスメクタイト系の粘土で、溶岩(火成岩)そのものを砕いた粉ではない
火山性粘土という説明国内の原料説明で広く用いられている紹介にあたるガスールの鉱床については湖成堆積物中のドロマイトの続成変質という成因が報告されており、説明が一致しない
吸着力による乾燥皮脂を選ばず吸着するため、乾燥・つっぱりは実際に起こりうる成分の危険性ではなく、置く時間・こする力・頻度という接触条件の問題にあたる
公的評価CIRはスメクタイト系のベントナイト・モンモリロナイトを評価している本成分はCIRの評価対象8成分に含まれず、評価済みとも危険とも言えない
ミネラルの効能鉱物としてマグネシウム等を含むことは分析値で報告されているそれが肌に吸収されて働くことを示すものではない

(出典: 化粧品の成分表示名称リスト収載情報 / Benhammou ほか 2009 / Chahi ほか 1999 ほか / CIR 暫定改訂版 Naturally-Sourced Clays 2022 / 国内の化粧品原料データベース各種)

結論としては、危険と断じるのでも安全と断じるのでもなく、この成分については「表示名から中身が読み取れない」ことと「公的評価が本成分名義では存在しない」ことを、そのまま前提として扱うのが正確、という位置に落ち着く。そのうえで実用の判断材料になるのは、剤形と使い方、そして自分の肌の状態にあたる。

4. 相性の良い・悪い成分

4.1 併用推奨

モロッコ溶岩クレイは処方の中で単独では完結せず、洗浄骨格や保湿成分と組み合わせて使われる。実際の製品で確認できる組み合わせは4つある。

1つ目が石けん系の洗浄基剤との組み合わせにあたる。本成分を配合する4製品はすべて、高級脂肪酸と水酸化Kによる石けん系の洗浄骨格を持ち、その上にクレイが重ねられている(出典: DappNotes 商品マスター集計)。界面活性剤が皮脂をミセルに取り込んで水に分散させるのに対し、クレイは表面と層間に汚れを抱え込む。経路が違うため、両者は競合ではなく補完の関係にあたる

2つ目が他のクレイとのブレンドにあたる。P134 プラウドメン クレイフェイスウォッシュでは、モロッコ溶岩クレイ(11位)・海シルト(12位)・カオリン(13位)の3種が連続して並ぶ(出典: DappNotes 商品マスター集計)。膨潤する2:1型と膨潤しない1:1型では吸着の担い手が違うため、組み合わせて吸着量と感触の両方を設計する意図が読める。P085 NILE 濃密泡洗顔のように、ベントナイトを含む5種のクレイを併用する処方もある。

3つ目が非粘土系の吸着成分との組み合わせにあたる。シリカは多孔質の二酸化ケイ素で皮脂吸着とつや消し・感触調整を担い、炭(チャコール)は多孔質構造による吸着を担う。どちらも粘土とは担い手が違うため併用されることがあるが、吸着系を重ねるほど脱脂は進むので、乾燥肌では組み合わせの多さがそのまま利点にはならない。

4つ目が保湿成分との組み合わせにあたる。吸着系の洗浄は皮脂を持っていくため、グリセリン等のヒューメクタントで洗い上がりを和らげる設計が一般的で、P128 カネボウ スクラビング マッド ウォッシュがグリセリンを成分表の先頭に置いているのはその一例と読める(出典: DappNotes 商品マスター集計)。洗顔後のスキンケアではスクワラン等で油分を補う組み合わせが実用的になる。皮脂対策の文脈では、吸着型のクレイに対し亜鉛PCAライスパワーNo.6のように別経路で皮脂に働きかける成分もあり、目的に応じて役割が分かれる。

4.2 併用注意

モロッコ溶岩クレイは処方設計者が管理する粉体で、消費者が「この成分と一緒に使ってはいけない」と気にする類の成分ではない。ただし使用上の留意点はいくつかある。

1点目が吸着系を重ねる運用にあたる。クレイ・シリカ・炭といった吸着系は、単独でも皮脂を選ばずに持っていく。クレイ洗顔のあとにさらに吸着系のパックを重ねる、といった積み増しは脱脂が進みやすい。皮脂が多いメンズほど「もっと落とす」方向に振れやすいが、洗浄後の乾燥はバリア機能を下げる側に働く(出典: メンズスキンケア専門メディア各種)。

2点目がスクラブとの併用にあたる。P128 カネボウ スクラビング マッド ウォッシュのようにスクラブ粒子とクレイを併用する製品では、摩擦の要素が加わる。粒子径のある粉体で強くこすれば物理刺激になるため、力を入れず泡や水の層を挟んで洗うのが基本にあたる。

3点目が髭剃り直後の肌にあたる。毎日の髭剃りで角質と皮脂膜が削られた直後の肌はバリア機能が落ちており、洗浄後のpH回復も遅れやすい(出典: メンズスキンケア専門メディア各種)。この状態でクレイパックを長時間置く運用は避け、時間を空けるか洗い流す剤形にとどめるのが安全側になる。

4点目が粉末タイプの取り扱いにあたる。粉を計量する際に舞う微粉末を吸い込まないよう扱うのが無難で、これは §3.1 で触れたスメクタイト系クレイに対するCIRの但し書きとも整合する注意になる(出典: CIR 暫定改訂版 Naturally-Sourced Clays 2022)。

4.3 類似成分

クレイ系の類似成分は、表示名の付け方と鉱物系統の2つの軸で整理すると見通しがよくなる。この2つの軸は一致しない。

表示名表示名の付け方鉱物系統層の構造CIRの評価対象
カオリン鉱物名カオリナイト系1:1型・膨潤しない対象(但し書きなしで安全)
ベントナイト鉱物名スメクタイト系2:1型・膨潤する対象(吸入剤型はデータ不十分の但し書き付き)
海シルト産地・由来名スメクタイトを含む2:1型を含む対象外
モロッコ溶岩クレイ(本成分)産地・由来名スメクタイト系2:1型・膨潤する対象外

(出典: CIR 暫定改訂版 Naturally-Sourced Clays 2022 / Benhammou ほか 2009 / 国内の化粧品原料データベース各種)

表の読みどころは2つある。1つは、表示名が鉱物名か産地名かという分かれ方と、鉱物系統の分かれ方が一致しない点にあたる。産地名で書かれる海シルトとモロッコ溶岩クレイは、鉱物系統ではベントナイトと同じスメクタイト系の側に並ぶ。別系統になるのは、1:1型で膨潤しないカオリンだけにあたる。もう1つは、公的評価の有無も表示名の単位で分かれている点になる(出典: CIR 暫定改訂版 Naturally-Sourced Clays 2022)。

最も近い成分はベントナイトにあたる。どちらもスメクタイト系の2:1型で膨潤し、吸着の担い手も共通する。違いは主体となる鉱物で、ベントナイトはアルミニウムに富む二八面体型のモンモリロナイトを主成分とし、ガスールとして流通するモロッコ溶岩クレイはマグネシウムに富む三八面体型のステベンサイトが主体と報告されている(出典: Benhammou ほか 2009)。ただし表示名称は特定の鉱床やグレードを指定しないため、同じ表示名の原料すべてが同一の性状とは限らない。海シルトも同じ「産地名で書かれるスメクタイト系」の位置にあり、本成分と構図が最も似ている。

粘土から離れた比較対象としては、シリカと炭がある。どちらも多孔質の粉体で皮脂を吸着するが、担い手は粒子表面と細孔で、粘土のように層間に取り込んだり陽イオン交換をしたりはしない。「吸着系」とひとくくりにされがちだが仕組みは別にあたる。感触の設計でも、シリカがさらさらのマット感を担うのに対し、粘土は水を含んでぬるりとした感触を出す側にある。

5. よくある質問

Q1. モロッコ溶岩クレイとガスールは同じものですか

ほぼ同じものと考えて差し支えありません。日本の売り場で「ガスール」として売られている粉末・固形タイプの商品は、全成分表示が「モロッコ溶岩クレイ」の1成分のみで構成されています(出典: ナイアード ガスール製品情報)。つまり、ガスールという商品名・通称に対して、成分表示のルール上の名前がモロッコ溶岩クレイにあたります。ラスールクレイ、ガッスールといった表記も同じものを指して使われます。ただし厳密には、モロッコ溶岩クレイは日本化粧品工業会の化粧品成分表示名称であって、特定の鉱床やグレードを指定する名称ではありません(出典: 化粧品の成分表示名称リスト収載情報)。「ガスール=モロッコ溶岩クレイ」は成り立ちますが、「モロッコ溶岩クレイと表示された原料はすべてガスールと同一の性状」まで言い切ることはできない、という関係になります。検索するときの語と、成分表に書かれる語が違うだけ、と押さえておくのが実用的です。

Q2. 「溶岩クレイ」という名前ですが、溶岩を砕いた粉なのですか

溶岩そのもの(火成岩)を砕いた粉というイメージは、実態とは異なります。鉱物としての系統はスメクタイト系の粘土鉱物で、ベントナイト・海シルトと同じ側にあたります(出典: 国内の化粧品原料データベース各種 / CIR 暫定改訂版 Naturally-Sourced Clays 2022)。国内の原料説明では「アトラス山脈産の火山性粘土」と紹介されることが多い一方、ガスールの産地であるジュベル・ラスール鉱床を対象とした地質学の研究では、第三紀の湖成環境で堆積したドロマイトが続成変質してステベンサイト(マグネシウムに富むスメクタイト)に置き換わったという成因が報告されています(出典: Chahi ほか 1999 ほか)。名前が誤っているという話ではありません。化粧品の成分表示名称は収載された名前であって鉱物名でも成因名でもないため、そこから鉱物系統や成因は判断できない、というだけのことです。

Q3. モロッコ溶岩クレイは安全な成分ですか

「公的に安全と評価済み」と言い切れる状態ではない、というのが正確な回答になります。化粧品のクレイ系成分についてはCIR(Cosmetic Ingredient Review)が2022年に暫定改訂版の安全性評価を公表していますが、その評価対象8成分(Attapulgite・Bentonite・Clay・Fuller’s Earth・Hectorite・Illite・Kaolin・Montmorillonite)に、日本の表示名称であるモロッコ溶岩クレイは含まれていません(出典: CIR 暫定改訂版 Naturally-Sourced Clays 2022)。参照できるのは、同じスメクタイト系のベントナイト・モンモリロナイトへの評価までです。ただし「評価されていない=危険」でもありません。日本の成分表示名称とCIRが扱うINCI名の枠組みが別だ、というだけの話です。実際の性質としては水に不溶の無機粉体で肌に浸透せず、国内の原料データベースでも皮膚刺激リスクは低い部類と整理されるのが一般的です(出典: 国内の化粧品原料データベース各種)。注意が要るのは成分そのものより使い方の側で、置きすぎ・こすりすぎ・頻度の上げすぎによる乾燥と物理刺激が実際の論点になります。

Q4. クレイ洗顔やガスールパックで肌がつっぱります。使わないほうがいいですか

つっぱりの原因は成分の有無というより接触の条件にあるので、まず使い方の側を調整するのが実用的です。粘土の吸着は皮脂を選ばないため、置く時間が長いほど・こする力が強いほど・頻度が高いほど脱脂は進みます。パック用途であれば乾き切る前に洗い流す、頻度を空ける、洗顔であれば力を入れずに泡や水の層を挟んで短時間で流す、といった調整が先にきます。男性は皮脂が多い一方で肌内部の水分量は女性の約半分とされ、毎日の髭剃りでバリア機能も落ちやすいため、髭剃り直後にクレイパックを重ねる運用はとくに響きやすくなります(出典: メンズスキンケア専門メディア各種)。それでもつっぱる場合は、吸着系を重ねない処方に切り替えるか、洗顔後にグリセリン・スクワラン等で水分と油分を補うところまでをセットで組むのが現実的です。なお、洗浄そのものを穏やかにしたい場合は、クレイの有無ではなく洗浄基剤の種類(石けん系かアミノ酸系か)を見るほうが効きます。

Q5. モロッコ溶岩クレイに毛穴を引き締めたりデトックスしたりする効果はありますか

いずれも、この成分の働きとして説明できる範囲を超えます。モロッコ溶岩クレイは化粧品成分で、医薬部外品の有効成分ではなく、承認された効能もありません(出典: 化粧品の成分表示名称リスト収載情報)。説明できるのは「皮脂や汚れを吸着して洗い流す」という洗浄の範囲までで、毛穴の構造を変える、皮脂分泌そのものを抑える、といった作用は確認されていません。「デトックス」もクレイ系の訴求で見かける言い回しですが、肌表面の汚れを吸着することと、体内の何かを排出することはまったく別の話です。皮膚は体内の物質を排出する器官ではなく、粘土が経皮的に何かを引き出すという機序も確認されていません。また「ミネラル豊富」という説明についても、鉱物としてマグネシウム等を含むことは分析値で報告されていますが(出典: Benhammou ほか 2009)、それが肌に吸収されて働くことを示すものではありません。組成の事実と肌への効能は、それぞれ別に確認されるべき事柄になります。

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本記事に関する注記

  • 本記事は特定商品の効果を保証するものではありません。成分の働きには個人差があり、体質・肌質により合わない場合があります。
  • 肌に赤み・かゆみ・刺激等の異常が出た場合は使用を中止し、症状が続く・悪化する場合は皮膚科等の医療機関にご相談ください。傷・炎症のある肌への使用は避けてください。
  • モロッコ溶岩クレイは日本化粧品工業会の化粧品成分表示名称であり、特定の鉱床・グレードを指定する名称ではありません。本記事で参照する鉱物学的な報告は、この表示名で流通する代表例であるガスール(ジュベル・ラスール鉱床)に関する研究であり、同じ表示名の原料すべてが同一の性状であることを意味しません。
  • 本記事に含まれる製品数・配合順位の集計は DappNotes 商品マスター(2026年9月時点・スキンケア54製品/ヘアケア78製品)に基づく自社集計であり、市場全体の分布を示すものではありません。全成分表示は配合量1%以下の成分を順不同で記載できるため、記載位置から配合量を逆算することはできません。
  • 本記事は成分の一般的な解説であり、化粧品・医薬部外品の効能効果は配合製品の承認・表示の範囲に従います。
  • 外部の安全性指標(CIR等)は出典明記の参考値であり、絶対的な安全性を保証するものではありません。本成分はCIRの評価対象成分に含まれておらず、記事中の言及は同系統成分に対する評価の参照にとどまります。
  • 本記事はAIによる下書きを編集部がレビュー・再構成して作成しています。
  • 編集部レビュー済み・AI下書き活用