マンダムのギャツビー「EXパーフェクトローション」は、公式ページで「オールインワンケア」「1本で3役」とうたわれている、化粧品区分の化粧水です。本記事ではマンダム公式ページに掲載された全成分表示をもとに、同時期に解析したメンズ化粧水6本との突き合わせから、1本で済ませる設計が成分表のどこに表れているのか、エタノール・香料・可溶化剤の組み合わせで油性成分をどう乗せているのかを整理します。効能・効果を保証するものではなく、配合成分とその役割の解説を目的としています。

ギャツビー EXパーフェクトローションの概要

本製品は150mLの化粧品で、医薬部外品ではありません。化粧品の全成分表示は配合量の多い順(1%以下は順不同)に並ぶため、表示順から処方の骨格をある程度読み取れます。公式ページでは、ビタミンC誘導体(保湿)を配合したオールインワンケアであること、浸透型コラーゲン・ヒアルロン酸・セラミド様成分の3種を保湿成分として配合していることが訴求され、香りはフレッシュシトラスとされています。販売店の商品説明では、3役の中身は化粧水・乳液・美容液と紹介されています。

この「1本で済ませる」という名乗りがどこに表れているかを、同時期に解析した化粧水6本(NILE オールインワンローション、本製品、SHISEIDO メン ハイドレーティング ローション C、マニフィーク モイスチュアライジング ローション、トゥヴェール バランシングGAローション、ファンケル メン オールインワン ウォーター)の全成分で突き合わせてみます。水と多価アルコールを骨格にする点は6本とも共通で、分かれるのは二つの層です。ひとつは増粘成分の有無で、オールインワンを名乗るNILEとファンケル、そして本製品は増粘成分を含み、単品の化粧水として売られているSHISEIDO、マニフィーク、トゥヴェールは含みません。この6本の範囲では、1本で済ませる設計の違いは保湿成分の種類よりも、とろみを持たせる層のほうに表れている、というのが成分表から読める観察です。もうひとつはエタノール・香料・可溶化剤の組み合わせで、本製品はエタノールが3番目に並び、PEG-20水添ヒマシ油とPEG-50水添ヒマシ油、香料を配合しています。トゥヴェールは3点とも含まず、ファンケルはエタノールを含まず香料の代わりに精油を使うなど、ここは製品ごとに選択が分かれています。本製品は、増粘層と3点の組み合わせの両方を持つ側に位置します。

価格はAmazon表示価格のスナップショットで760円、1mLあたり約5円です。販売店によっては1,000円前後の表示もありますが、同じ6本の中ではもっとも手に取りやすい価格帯に入り、ドラッグストアで買える点も含めて継続しやすいのが強みです。

弱みは三点あります。ひとつは香料とエタノールを配合していることで、香りやアルコールの有無を選ぶ条件にしている人には合いません。ふたつめは、公式が1本で3役とうたう一方で、成分表に並ぶ油性成分は実質トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルが中心で、配合量も公表されていない点です。乾燥の感じ方によっては、この1本で足りるかどうかを使いながら判断する必要があります。みっつめは、植物エキスなど美容液的に語られやすい成分の顔ぶれは多くなく、保湿の土台と使用感の設計に絞った処方である点で、成分の種類の多さを期待すると物足りなさが残ります。

注目成分の解析

とろみを持たせる増粘層

本製品を6本の中でオールインワン系の側に置いているのが、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーとキサンタンガムによる増粘層です。前者はカルボマーの仲間にあたるアクリル系の増粘ポリマーで、水に分散させたうえでアルカリで中和して粘度を出す使い方が一般的とされます。成分表で水酸化Kがすぐ後ろに並んでいるのは、この中和の目的で配合されていると読むのが自然です。キサンタンガムは微生物由来の多糖類で、とろみの質感を調える目的で広く使われる成分です。

アクリル系の増粘ポリマーには、少量の油性成分を水の中に安定して抱え込ませる役割も期待されることが多く、イソステアリン酸ソルビタンやトリラウレス-4リン酸といった界面活性剤とあわせて、化粧水でありながら油性成分を分散させた状態を保つ組み立てになっています。ただしメーカーが処方意図を明示しているわけではないため、これは成分の性質と並び順からの読み取りです。

エタノールと可溶化剤で乗せる油性成分

表示順で7番目に並ぶトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルは、ヤシ油などに由来する脂肪酸とグリセリンから作られる軽い感触の油性成分で、肌表面をやわらかく保つエモリエントの目的で配合されることが多い成分です。油性成分は本来水に溶けないため、化粧水に乗せるにはひと工夫が要ります。本製品では、3番目に並ぶエタノールが溶剤として働き、PEG-20水添ヒマシ油とPEG-50水添ヒマシ油というノニオン系の可溶化剤が2種並んでいます。可溶化剤は香料のような油溶性の成分を水に溶け込ませる目的でも使われるため、エタノール・香料・可溶化剤がそろっているのは処方上つじつまの合う組み合わせです。

同じ6本の中では、マニフィークもトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルとヒマシ油系の可溶化剤を組み合わせており、この成分を化粧水に乗せる手法そのものは本製品だけのものではありません。違いは、本製品が増粘層も併せ持ち、とろみの中に油性成分を置いている点にあります。なおエタノールは、使用時の清涼感につながる反面、アルコールを避けたい人にとっては選びにくい条件になります。

糖アルコールと皮膜系の保湿層、公式が訴求する3種

保湿の土台は、グリセリン、プロパンジオール、BGといった多価アルコールに、メチルグルセス-20とマルチトールが加わる構成です。メチルグルセス-20はブドウ糖由来の成分にエチレンオキシドを付加した保湿剤で、べたつきを抑えつつ水分を抱え込む目的で使われることが多いとされます。マルチトールは糖アルコールの一種で、しっとりした保湿感を担う成分です。これにプルランが加わります。プルランは微生物が作る多糖類で、肌表面に薄い膜をつくる皮膜形成の目的で配合される成分です。表示順の上位に糖系の保湿剤、中盤に皮膜をつくる多糖類を置く並びは、水分を与える層ととどめる層を分けて積んだ構成と読めます。

公式が3種の保湿成分として訴求しているもののうち、成分表で対応するのは加水分解コラーゲン、ヒアルロン酸Na、そして公式ページの注記でセラミド様成分とされている(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマーです。いずれも表示順は後半で、配合量は公表されていません。公式がビタミンC誘導体として注記しているアスコルビルグルコシドも同じく後半に並び、公式の表記では保湿の目的で配合されたものとされています。訴求成分の名前がそろっていることと、処方の骨格を担っていることは別で、本製品の保湿の骨格はむしろ上位の多価アルコールと糖系の層が支えているといえます。

こんな人におすすめ / 向かない人

おすすめな人

  • 化粧水と乳液の工程を1本にまとめ、1mLあたりの価格も抑えたい人
  • さらっとした水のような化粧水より、とろみのある使用感を好む人
  • シトラス系の香りやエタノールの入った使用感に抵抗がない人
  • ドラッグストアで買える価格帯で、量を気にせず毎日使いたい人

向かない人

  • 香料やエタノールを配合していない製品を条件にしたい人
  • 乾燥が強く、油性成分をしっかり含む乳液やクリームで保湿を組みたい人
  • 植物エキスなど、成分の顔ぶれの多さを重視して選びたい人
  • とろみのある感触や、肌表面に膜が残るような感触が苦手な人

本製品は、増粘層で1本にまとめる形をとりつつ、エタノールと可溶化剤で油性成分を少量乗せた、低価格帯のオールインワン系化粧水です。成分の種類で差をつけるタイプではなく、とろみと保湿の土台で使用感を組んだ処方と読めます。香料とエタノールを受け入れられるか、この1本で乾燥の感じ方に足りるかどうかで判断するとよいでしょう。

よくある質問

Q. これ1本で乳液はいりませんか

公式ページでは1本で3役のオールインワンケアとうたわれており、化粧水と乳液の工程をまとめて使う想定の製品です。ただし成分表を見ると、油性成分はトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルが中心で、配合量も公表されていません。乳液を重ねなくて済むかどうかは成分表からは判断できず、肌の乾燥の感じ方に左右されます。

使ってみてつっぱりや乾燥が気になる場合は、乳液やクリームを重ねる選択も十分に成り立ちます。逆に、皮脂が出やすく重い感触を避けたい人にとっては、1本で終わる手軽さが利点になります。

Q. エタノールと香料が入っていますが、ひげ剃り後に使っても問題ありませんか

販売店の商品説明に掲載された使用方法では、洗顔後や入浴後とあわせてヒゲそり後も使う場面として挙げられています。一方で本製品はエタノールを3番目に配合し、香料も含んでいるため、使用時の感じ方には個人差があります。

ひげ剃り後の肌は状態が不安定になりやすいため、初めて使う際は少量から試すのが安全です。しみる、赤みが出るなど肌に異常を感じた場合は使用を中止し、症状が続く場合は皮膚科など専門家への相談を検討してください。

Q. 浸透型コラーゲンやビタミンC誘導体と書かれていますが、どう読めばよいですか

化粧品で浸透という言葉が使われる場合、その範囲は角層までとされています。公式ページでも、うるおいを角層のすみずみまで届けるという表現が使われています。成分表で対応するのは加水分解コラーゲンで、保湿の目的で配合される成分です。

ビタミンC誘導体として注記されているアスコルビルグルコシドも、公式の表記では保湿の目的で配合されたものとされています。いずれも表示順は後半で配合量は公表されていないため、成分名から保湿以上の働きを読み取るのは避け、処方全体の中の一要素として捉えるのが妥当です。