アンファー株式会社のメンズブランド DISM から出ている「オールインワンジェル モイスト」は、ナイアシンアミド5%配合をうたい、ヒト型セラミドを3種重ねたしっとりタイプのオールインワンジェルです。区分は医薬部外品ではなく化粧品で、ここが訴求の読み方を大きく左右します。本記事では公表されている成分情報をもとに、化粧品区分でのナイアシンアミドの位置づけ、セラミドとスクワランが作る保湿の骨格、そして整肌成分の重ね方を整理します。効能・効果を保証するものではなく、配合成分とその役割の解説を目的としています。
DISM オールインワンジェル モイストの概要
本製品は、化粧水・乳液・クリームといった工程を1本にまとめることを想定したオールインワンタイプです。同じシリーズにUV機能を持つタイプがあり、本製品はそのうち保湿方向に振った「モイスト」にあたります。区分は化粧品で、医薬部外品のように有効成分を先頭に立てる表示形式ではなく、全成分が配合量順に一列で並ぶ形になっています。
処方の性格は、水・BGに続く3番目にナイアシンアミドが置かれ、その直後にスクワラン、ベタイン、ジグリセリン、グリセリンという保湿・エモリエントの層が来る構成に表れています。増粘側は(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーというウレタン系の会合ポリマーが主体で、後半に(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーとキサンタンガムが加わります。油剤を厚く積んでコクを出すクリーム型ではなく、水性ベースにポリマーで粘度を与えるジェル型の設計と読み取れます。エタノール・パラベン・メントール・鉱物油・合成着色料を配合しないことが公表されている点も、刺激条件を気にする層を意識した構成といえます。
弱みとして挙げておきたいのが容量単価です。90gで2,640円という設定は、同じ90g前後のメンズ向けオールインワンのなかでは高めの部類に入り、顔だけでなく首まわりや髭剃り後にも広く使うと消費は早くなります。工程を束ねられるぶんアイテム数は減りますが、1本あたりの単価が下がるわけではないという点は、継続購入を前提にするなら見ておきたい条件です。
なお本製品は、メーカー公式サイトの商品ページが全成分欄をスクリプトで描画する形式のため、公式ページから成分表示を直接取得できていません。本記事の成分情報は、@cosme の公式商品情報と卸サイトの商品ページという2つの情報源を突き合わせ、全成分が一致することを確認したうえで表示順どおりに転記しています。一次情報そのものではないため、以下の解説も「公表されている成分情報によれば」という前提で読んでいただくのが正確です。
注目成分の解析
ナイアシンアミド(化粧品区分での位置づけ)
本製品の訴求の中心にあるのがナイアシンアミドです。プレスリリースで5%配合が示されており、公表されている成分情報でも表示順は水・BGに次ぐ3番目で、配合量順の表示と整合します。配合量に踏み込んだ数字を出している製品は多くないため、この点は本製品の分かりやすい特徴です。
ただし読み方には注意が要ります。ナイアシンアミドは医薬部外品では有効成分として承認された実績のある成分ですが、本製品の区分は化粧品です。化粧品に配合されたナイアシンアミドは、あくまでその他の一般成分のひとつであり、医薬部外品の有効成分として承認されている効能をそのまま名乗ることはできません。つまり本製品は「濃度は言えるが、効能は名乗れない」という位置にあります。逆に医薬部外品は効能を名乗れるかわりに、成分表示が部外品表示名称になり、成分名そのものは読者に伝わりにくくなります。どちらが優れているという話ではなく、訴求の置き場所が違うと理解するのが実態に近いでしょう。本製品におけるナイアシンアミドは、整肌を目的として比較的上位に配合された成分、として読むのが妥当です。
ヒト型セラミド3種とスクワランの保湿骨格
本製品の骨格を作っているのが、セラミドNG・セラミドNP・セラミドAPという3種のヒト型セラミドです。ヒト型セラミドは、皮膚の角層で細胞間脂質を構成するセラミドと同じ構造を持つ成分群で、種類ごとに構造が少しずつ異なります。1種だけを入れる処方も多いなか、3種を並べているのは、成分表の構成そのもので保湿の厚みを示す設計といえます。
この層を支える側にも配置があります。表示順4番目のスクワランはエモリエントとして皮膚表面をやわらげる役割を担い、後半にはコレステロール、フィトステロールズ、水添レシチンが並びます。コレステロールはセラミドと同じく細胞間脂質を構成する成分であり、セラミドと組み合わせて配合されることが多い成分です。さらにヒアルロン酸Na、水溶性コラーゲン、ポリクオタニウム-51、ビオサッカリドガム-1といった水を抱える側の成分と、グルタミン酸・グリシン・セリン・アラニン・アルギニン・プロリンなど十数種に及ぶアミノ酸類が重なります。油側の膜で厚みを出すのではなく、細胞間脂質に近い構成成分と水を抱える成分を並べて保湿を組み立てる方向の処方と読み取れます。
カルノシン・リン酸アスコルビルMg・酢酸トコフェロールの整肌層
保湿の骨格の上に、整肌を目的とした成分が薄く重ねられています。カルノシンはβ-アラニンとヒスチジンから成るジペプチドで、表示順9番目とセラミド群の直前に置かれています。リン酸アスコルビルMgはビタミンC誘導体、酢酸トコフェロールはビタミンE誘導体で、いずれも水溶性・油溶性それぞれの側から整肌を担う成分として化粧品に広く使われます。加えてグリチルリチン酸2K、アラントイン、タウリン、リシンHCl、ヒスチジンHClが同じ層に並びます。
この層は種類の多さが目を引きますが、いずれも表示順は中盤以降で、配合量としては上位のナイアシンアミドや保湿ベースに比べて少ないと読むのが自然です。また本製品は化粧品であるため、これらの成分は承認された効能を持つ有効成分ではなく、あくまで肌を整えることを目的として配合された成分です。成分の種類数をそのまま効果の大きさに読み替えるのではなく、この製品が何を目指して設計されているかを示す手がかりとして捉えるのが妥当でしょう。
こんな人におすすめ / 向かない人
おすすめな人
- スキンケアの工程を1本にまとめつつ、保湿成分の構成にはこだわりたい人
- ヒト型セラミドを複数種持つ処方を、メンズ向けのオールインワンで探している人
- エタノールやメントールを含まない、刺激条件を抑えた処方を選びたい人
- 配合量が公表されている成分がある製品を、判断材料として重視する人
向かない人
- 1本あたりの価格を抑え、容量単価を最優先で選びたい人
- ナイアシンアミドの効能表示が認められた医薬部外品を求めている人
- 油分のコクや厚い膜感のある使用感を好む人
- 化粧水・美容液・乳液を個別に選び、工程ごとに調整したい人
オールインワンは工程を減らせる代わりに、各工程を個別最適する自由度は下がります。本製品はその制約のなかで、保湿成分の構成の厚みとナイアシンアミドの配合量訴求という2点に投資した設計です。ただし化粧品区分である以上、成分名や濃度は伝えられても効能そのものは名乗れず、90gで2,640円という容量単価も安価ではありません。成分構成を読んで納得したうえで選ぶ人に向く製品といえます。なお成分の感じ方には個人差があるため、不安がある場合は目立たない部分で試してから使うのが無難です。
よくある質問
Q. ナイアシンアミド5%配合ならシワや美白のケアができますか
本製品は化粧品であり、医薬部外品ではありません。ナイアシンアミドは医薬部外品では有効成分として承認された実績がありますが、それは承認を受けた医薬部外品での話であって、化粧品に一般成分として配合された場合に同じ効能を名乗ることはできません。本製品のナイアシンアミドは、整肌を目的として上位に配合された成分として理解するのが正確です。
Q. セラミドが3種類入っていると1種類の製品より効果が高いのですか
成分の種類数がそのまま効果の大きさに対応するわけではありません。ヒト型セラミドは種類ごとに構造が異なるため、複数種を組み合わせるのは処方設計上の考え方のひとつですが、各セラミドの配合量は公表されておらず、表示順からも正確な多寡は読み取れません。種類数は設計の方向性を示す情報として読み、優劣の根拠として扱わないのが妥当です。
Q. この1本でスキンケアは完結しますか
オールインワンは複数の工程を1本にまとめることを想定した製品形態であり、本製品も化粧水・乳液・クリームを兼ねる位置づけです。ただし乾燥の程度や季節によっては化粧水を先に重ねるなどの調整が要る場合があります。また本製品にUV防御の機能はないため、日中の紫外線対策には日焼け止めが別途必要です。肌に異常を感じた場合は使用を中止し、必要に応じて専門家に相談してください。