エーデルワイス花/葉エキスは、キク科の高山植物エーデルワイス(Leontopodium alpinum)の花と葉から得られる植物エキスで、INCI名はLeontopodium Alpinum Flower/Leaf Extract。化粧品表示名称の定義は「本品は、エーデルワイス Leontopodium alpinum の花及び葉のエキスである。」、配合目的は皮膚コンディショニング剤(未分類)である(出典: Cosmetic-Info.jp)。有効成分ではなく、化粧品に肌を整える目的で配合される。
この成分で最初に押さえたいのは、名前の割れ方である。同じ植物から化粧品表示名称が7つ作られ、部位や作り方ごとに別の成分として扱われる。一方、医薬部外品では地上部から抽出した原料が「エーデルワイスエキス」の名前で規格化されており、化粧品にも同じ文字列で部位の記載がない別の成分がある。本記事ではこの名前の割れ方を軸に、BULK HOMMEが語る由来の物語と表示名称が示す範囲のずれ、ブランドが「共通美容成分」としてまとめる配合セットの読み方を、表示から読めることと読めないことに分けて整理する。
1. エーデルワイス花/葉エキスの基本
1.1 何の成分か
エーデルワイスはヨーロッパアルプスなどの高山に生えるキク科の多年草で、医薬部外品原料規格2021では現行の学名 Leontopodium nivale subsp. alpinum も併記されている(出典: 医薬部外品原料規格2021)。エーデルワイス花/葉エキスは、日本化粧品工業連合会の化粧品表示名称で成分番号560763、「化粧品の成分表示名称リスト」No.20(2008年2月5日発行)で収載された。旧称のINCIは LEONTOPODIUM ALPINUM EXTRACT で、これは部位の記載がない化粧品表示名称「エーデルワイスエキス」の現在のINCI名と同じ綴りになる(出典: Cosmetic-Info.jp)。CAS番号 391900-47-3 は、部位の記載がない名前や花/葉/茎・花・カルス培養エキスにも同じ番号が表示されており、部位を区別する番号ではない。
成分の分析は、アルプスの民間医療で使われてきた地上部について進んでいる。
- Schwaiger ら(2006): 地上部の抽出物から、レオントポジン酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、ルテオリンやアピゲニンの配糖体など14成分を同定し、新しい化合物レオントポジン酸Bを報告した。頭花・花序の葉・茎・茎の葉・根生葉で量は異なるが、含まれる成分の種類に差はみられなかった(出典: Phytochem Anal 2006)
- Ganzera ら(2012): 地上部の12成分を定量し、含量が生育段階に強く左右されることを示した。生育初期にはフラボノイドが検出されず、開花期に各成分が高くなり、商業栽培品ではカフェ酸類4.99〜6.21%、レオントポジン酸4.21〜5.05%、フラボノイド0.25〜0.34%だった(出典: Fitoterapia 2012)
系統でまとめると、カフェ酸誘導体(レオントポジン酸・ジカフェオイルキナ酸)とフラボノイド配糖体が中心になる。ただしこれは乾燥した植物材料の分析値で、化粧品原料や商品に含まれる量ではない。属全体の総説は179の化合物を挙げたうえで、臨床試験はまだ足りないとまとめている(出典: Fitoterapia 2025)。
規制上は、有効成分ではない添加成分に分類される。
1.2 どんな製品に配合されるか
Cosmetic-Info.jpで本成分に関連づけられた原料は3件で、GREENTECH社の水・グリコール系の抽出物と油性の抽出物、DSM(現dsm-firmenich)の「ALPAFLOR EDELWEISS CB」である(出典: Cosmetic-Info.jp)。ALPAFLOR EDELWEISS CB は、スイスアルプスの標高1000〜1500mで栽培した品種 ‘Helvetia’ を使う、植物性グリセリンベースの原料と説明されている(出典: dsm-firmenich 製品情報)。どの商品がどの原料を使っているかは、成分表からは分からない。
DappNotesの商品マスター(132製品)で「エーデルワイス花/葉エキス」の表記を確認できたのは3品である。
| 商品 | 区分 | 剤形 | 表示位置/全成分数 |
|---|---|---|---|
| バルクオム THE FACE WASH | 化粧品 | 洗顔料 | 23/35 |
| バルクオム THE EMULSION | 化粧品 | 乳液 | 18/35 |
| マニフィーク モイスチュアライジング ジェル | 化粧品 | オールインワンジェル | 6/28 |
(出典: 各社公式サイトの全成分表示)
これとは別に、同じBULK HOMMEの医薬部外品の化粧水 バルクオム THE REPAIR LOTION には「エーデルワイスエキス」の表記で入っている(有効成分を含めた25成分中11位)。部外品のこの名前は本成分と範囲が一致しないため、上の表には含めず、§3.3で名前の割れ方とあわせて扱う。
1.3 メンズ視点での見方
配合例はどれもメンズ向けの商品である。BULK HOMMEの2品ではブランドが「共通美容成分」と呼ぶ植物由来の成分群の1つとして、マニフィークでは保湿の骨格(BG・グリセリン・メチルグルセス-10)とジメチコンの後ろに置かれた植物エキスとして並ぶ。
読み方の要点は2つある。1つは、「アルプスの高山植物」という物語は成分表の名前に出てこないこと。もう1つは、同じ「エーデルワイス」でも表示名称ごとに部位や規格が違い、「エーデルワイスエキス」という名前だけでは、化粧品の部位の記載がない成分なのか、部外品の地上部の規格品なのかを決められないことである。商品を選ぶときに見るのは、保湿の骨格・剤形・使い心地のほうになる。
2. 期待される働き・効果
2.1 原料の機能性として報告されていること
化粧品の配合目的として登録されているのは、皮膚コンディショニング剤(未分類)だけである(出典: Cosmetic-Info.jp)。化粧品の中での役割は「肌の状態を整える」範囲で読むのが基本になる。
そのうえで、原料や植物の機能性として次のような報告がある。いずれも配合商品の効果を示すものではない。
- 原料メーカーの訴求: dsm-firmenich は ALPAFLOR EDELWEISS CB について、試験管内での抗酸化・DNA保護やコラーゲン(I型・V型)への作用、ヒト試験での眉間の小ジワ(プラセボ比3倍と表記)・抗糖化・毛髪密度などを挙げている(出典: dsm-firmenich 製品情報)。化粧品成分オンラインも、DSMの報告として抗糖化とI型コラーゲン産生促進を紹介している(出典: 化粧品成分オンライン・二次)
- メーカーの研究者が加わった論文: Campiche ら(2022)は、DSM所属の著者を含むグループで、品種 Helvetia の抽出物を0.001%で加えたヒト毛包の培養(3名由来)で成長期が延び、5か月のリーブオン美容液のプラセボ対照試験で毛髪密度が増えたと報告した(出典: Int J Cosmet Sci 2022)
- 植物成分としての研究: レオントポジン酸などのフェノール成分は抗酸化や抗炎症の研究対象になっており、属全体の総説もこれらを成分の性質としてまとめている(出典: Fitoterapia 2025)
これらは「原料や植物成分にこういう性質が報告されている」という情報である。メーカーの試験は自社原料の訴求のために行われ、試験の濃度や剤形も商品とは違う。配合商品の中の量で同じことが起きるかは、別に確かめない限り分からない。
2.2 一般的な効能範囲
エーデルワイス花/葉エキスを配合した化粧品で表現できるのは、化粧品の効能範囲のうち「肌を整える」「肌のキメを整える」「皮膚をすこやかに保つ」「皮膚にうるおいを与える」「肌を保護する」といった範囲である。配合例のBULK HOMMEは商品頁で本成分を含む共通美容成分に「保湿成分」、マニフィークは「植物由来保湿成分」と注記しており、どちらもこの範囲の中の表現になっている。
逆に、次のような表現を本成分の効能として書くことはできない。
- 抗酸化で老化を防ぐ・シワを改善する
- 抜け毛を防ぐ・毛髪を増やす
- 炎症を抑える
2.3 限界・誤解されやすい点
誤解されやすい点は3つある。
1. 物語から効果を導く誤解。 「厳しい高山で身を守るために抗酸化成分を作る」という説明は、植物がどう生きているかの話である。植物の中で抗酸化成分が作られることと、エキスを塗った肌で抗酸化の働きが起きることは別の話で、前者から後者は導けない。
2. 別の表示名称の研究を持ち込む誤解。 エーデルワイスの皮膚研究には、カルス培養物の抽出物を使った論文が多い。カルス培養エキスは化粧品表示名称でも「エーデルワイスカルス培養エキス」という別成分で、植物体の花と葉から抽出する本成分とは作り方も配合目的も違う(§3.3)。「エーデルワイスの論文」をそのまま本成分に当てはめることはできない。
3. 表示位置で量や働きの強さを比べる誤解。 マニフィークでは6位、BULK HOMMEの2品では18位と23位だが、この順位は配合量や働きの強さの比較に使えない(§3.5)。
3. 安全性・注意点
3.1 既知の刺激性・アレルギー報告
エーデルワイス花/葉エキスの安全性について、公開されている情報は多くない。化粧品成分オンラインは、10年以上の使用実績の中で重大な皮膚刺激や皮膚感作の報告が見当たらないとして、次のように整理している(出典: 化粧品成分オンライン・二次)。
- 皮膚刺激性: ほとんどなし。ただし詳細な試験データは見当たらない
- 眼刺激性: 試験データが見当たらず、詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性): ほとんどなし。ただし詳細な試験データは見当たらない
米国のCosmetic Ingredient Review(CIR)では、Leontopodium・エーデルワイスの成分は評価対象に見当たらず、CIRで評価済みの成分として扱うことはできない(出典: CIR)。PubMedでエーデルワイスと皮膚炎・アレルギー・パッチテストを組み合わせて検索した範囲でも、この植物による接触皮膚炎の報告は見当たらなかった(出典: PubMed 検索)。
言えるのは「重い刺激の報告は見当たらないが、試験データも乏しい」というところまでである。報告が少ないことと、安全性が十分に検証されていることは同じではない。キク科の植物エキスで、組成は生育段階や産地、抽出条件で変わる(§1.1)。配合商品には香料や精油なども入るため、肌に合わないと感じたときは処方全体を疑い、赤み・かゆみが出たら使用を中止する。
3.2 配合量の目安と表示から読めないこと
Cosmetic-Info.jpの化粧品表示名称ページでは、本成分の規制分類欄に記載はない(出典: Cosmetic-Info.jp)。配合量は各メーカーが処方ごとに決める。
成分表示から読めないことは、次の3つである。
- 配合量: 表示位置から量の多い少ないは読めない(§3.5)
- エキスの中身: 流通する原料はグリセリンなどを基剤とする液体で、エキス分の濃度やレオントポジン酸などの量は表示されない
- 原料の銘柄と植物の育ち方: 同じ「エーデルワイス花/葉エキス」でも、どのメーカーの原料か、栽培か野生か、どの産地かは表示から分からない
3.3 名前の割れ方|化粧品7つと、部外品の「エーデルワイスエキス」
エーデルワイスは、同じ植物から作られる表示名称が多い。化粧品表示名称を部位語を外した植物名で検索すると7件あり、医薬部外品の添加物にも1件ある。
| 表示名称 | 区分 | 部位・作り方(定義・本質の要旨) | 配合目的 | 収載 |
|---|---|---|---|---|
| エーデルワイス花/葉エキス(本成分) | 化粧品 | 花及び葉のエキス | 皮膚コンディショニング剤 | リストNo.20(2008年) |
| エーデルワイスエキス | 化粧品 | 部位の記載なし | 皮膚コンディショニング剤 | リストNo.11(2002年) |
| エーデルワイス花/葉/茎エキス | 化粧品 | 花、葉及び茎のエキス | 収れん剤・皮膚コンディショニング剤 | リストNo.27(2014年) |
| エーデルワイス花エキス | 化粧品 | 花のエキス | 皮膚コンディショニング剤 | リストNo.12(2002年) |
| エーデルワイスカルス培養エキス | 化粧品 | カルスの培養物のエキス | 酸化防止剤・ヘアコンディショニング剤・皮膚保護剤・保湿・湿潤剤 | リストNo.30(2016年) |
| エーデルワイス成長点細胞培養物 | 化粧品 | 成長点細胞の培養物懸濁液 | 皮膚コンディショニング剤 | リストNo.25(2011年) |
| エーデルワイス水 | 化粧品 | 地上部の水蒸気蒸留で得る水相 | 香料・皮膚コンディショニング剤 | リストNo.12(2002年) |
| エーデルワイスエキス | 医薬部外品(添加物) | 地上部を70%エタノールで抽出し、エタノールを除いてグリセリンを加えた混液 | (規格に配合目的の欄なし) | 医薬部外品原料規格2006に2010年追加・2021収載 |
(出典: Cosmetic-Info.jp 化粧品表示名称・部外品添加物 / 医薬部外品原料規格2021)
化粧品では、部位と作り方で名前が分かれ、それぞれが別成分になっている。花と葉のエキス(本成分)、花と葉と茎のエキス、花だけのエキスは、成分表の上では別物である。EUの成分データベースCosIngでも、本成分のINCI名は「花と葉のエキス」と定義され、部位を含まない Leontopodium Alpinum Extract は「全草のエキス」と定義されている(出典: EU CosIng)。日本の「エーデルワイスエキス」の定義は部位の記載がないだけで、全草とは書かれていない点も異なる。
医薬部外品の側は、「エーデルワイスエキス」という1つの名前で規格が定められている。本質は「地上部」の抽出液で、花と葉に加えて茎も含みうる範囲になり、グリセリンを加えた混液として規定されている(出典: 医薬部外品原料規格2021)。範囲が本成分と一致しないうえ、化粧品にも同じ文字列の「エーデルワイスエキス」が、部位の記載がない別の成分として存在する。つまり成分表で「エーデルワイスエキス」を見たとき、それが化粧品の部位の記載がない成分なのか、部外品の地上部の規格品なのかは、名前だけでは決まらない。
この割れ方は、同じブランドの中にも現れる。BULK HOMMEでは、化粧品の洗顔料と乳液は「エーデルワイス花/葉エキス」、医薬部外品の化粧水 THE REPAIR LOTION は「エーデルワイスエキス」と表示している(出典: BULK HOMME 公式商品頁)。ブランドの成分紹介ページも、化粧品のセットに「エーデルワイス花/葉エキス」、部外品のセットに「エーデルワイスエキス」を載せ、どちらにも同じ説明文を付けている(出典: BULK HOMME 公式)。
では化粧水と乳液に同じ原料が入っているのかというと、そこは成分表からは言えない。Cosmetic-Info.jpでは、dsm-firmenich の ALPAFLOR EDELWEISS CB が化粧品の「エーデルワイス花/葉エキス」と部外品添加物の「エーデルワイスエキス」の両方に関連原料として登録されており、1つの原料が区分によって2つの名前で扱われる例はある(出典: Cosmetic-Info.jp)。しかしBULK HOMMEがどの原料を使っているかは公表されておらず、2つの表示が同じ原料を指すとは確かめられない。
DappNotesでは、この事情から部外品の「エーデルワイスエキス」を本成分の別名として扱っていない。別名にすると、化粧品の部位の記載がない「エーデルワイスエキス」まで本成分と同じものとして結びついてしまうためである。
3.4 ブランドが語る「由来の物語」と、表示名称が示す範囲
BULK HOMMEは、本成分を含む植物由来の成分を「共通美容成分」として【エーデルワイス】などの見出しと物語つきで紹介している。機能の注記は、成分紹介ページでは本成分も部外品名のエーデルワイスエキスも「(保湿)」、商品頁では「保湿成分」である(出典: BULK HOMME 公式)。物語の要素のうち、成分表の名前から読めるものは限られる。
| 成分 | ブランドの説明(要旨) | 表示名称が示す範囲 | 物語の要素は名前に出るか | 由来の形 |
|---|---|---|---|---|
| エーデルワイス花/葉エキス(本成分) | アルプス標高1000mの環境から身を守るため、地上部のみに抗酸化成分を生成 | 花と葉 | 産地・標高・野生か栽培かは出ない。部位は出る | 植物体から抽出 |
| シスツスモンスペリエンシス花/葉/茎エキス | 山火事の跡でも再生する「フェニックス」 | 花・葉・茎 | 「山火事から再生」は出ない。部位は出る | 植物体から抽出 |
| シロツメクサエキス | 四葉以上を付ける特別な株、福祉事業で生産された四葉を一部使用 | 部位の記載なし | 「四つ葉」「特別な株」は出ない | 植物体から抽出 |
| クリスマムマリチマムカルス培養液 | 海から陸へ移住した最初の植物のひとつ、幹細胞をフリーズドライ | カルスの培養液 | 「幹細胞」は出ない | 植物細胞の培養 |
| イノノツスオブリクウスエキス | 白樺に寄生する希少なキノコ、「森のダイヤ」 | 学名のみ | 「キノコ」「白樺」「希少」は出ない | 菌類から抽出 |
| リンゴ果実培養細胞エキス(参考) | スイスの希少なリンゴの幹細胞、「奇跡のリンゴ」 | 果実の培養細胞のエキス | 品種名・「幹細胞」は出ない | 植物細胞の培養 |
| グリセリルグルコシド(参考) | サハラ砂漠のミロタムヌスから抽出、「復活の木」 | 化合物名 | 植物名そのものが出ない | 化合物 |
(出典: BULK HOMME 公式『共通美容成分』/ 各成分の化粧品表示名称)
本成分の説明で目を引くのは「地上部のみに」という言葉である。表示名称の定義は「花及び葉」で、地上部を範囲とするのは部外品名「エーデルワイスエキス」の規格のほうだ(§3.3)。ブランドは化粧品用の「花/葉エキス」と部外品用の「エーデルワイスエキス」に同じ説明文を付けているため、この物語から、それぞれの商品の成分がどの部位の範囲なのかは読み取れない。範囲を示すのは表示名称である。
産地の話も同様である。表示名称には産地も標高も、野生か栽培かも含まれない。スイスアルプスの標高1000〜1500mで栽培した品種を使う原料は市販されているが(出典: dsm-firmenich 製品情報)、BULK HOMMEがその原料を使っているとは公表されていない。説明の後半にある求婚の言い伝えは花の文化的な背景で、肌への働きとは関係がない。
3.5 「セット」として配合される成分の出方と、マニフィークとの対比
BULK HOMMEは、化粧品用に「8種の化粧品共通美容成分」、医薬部外品用に「6種の医薬部外品共通成分」を別々に明示している(出典: BULK HOMME 公式)。両方のセットに入っているのは、グリセリルグルコシド、イノシトール(部外品名イノシット)、エーデルワイスの3つで、植物エキスとして両方にまたがるのはエーデルワイスだけである。化粧品側では花/葉エキス、部外品側ではエーデルワイスエキスと、名前を変えて入っている。
化粧品の2品では、クリスマムマリチマムカルス培養液→グリセリルグルコシド→シスツスモンスペリエンシス花/葉/茎エキス→リンゴ果実培養細胞エキス→エーデルワイス花/葉エキス→イノノツスオブリクウスエキス→シロツメクサエキス→マルトデキストリンが、洗顔料と乳液で同じ順に並ぶ。ここから言えるのは、この8表記がそろって現れるのは132製品中この2品だけという「出現の一致」と、ブランドがセットとして明示していることまでである。1つずつ見れば、本成分はマニフィークにも入り、グリセリルグルコシド・リンゴ果実培養細胞エキス・マルトデキストリンもほかの商品に入っている。化粧品の全成分表示は配合量1%以下の成分を順不同で書けるため、並び順が同じことは、1つの原料にまとめて入っている根拠にはならない。ブランドも原料メーカーも、これらを1つの原料とは説明していない。マルトデキストリンはどちらのセットにも含まれていない。
マニフィーク モイスチュアライジング ジェルでは、本成分はジメチコンの後、セージ油の前の6位に入る。販売元のコーセーコスメポートは商品説明で「植物由来保湿成分」の1つとして「エーデルワイスエキス」を挙げるだけで、産地の話や単独の効能説明はない(出典: マニフィーク公式)。商品説明では短い呼び名を使い、全成分表示では「エーデルワイス花/葉エキス」と書いている。同じ成分表示名称でも、BULK HOMMEは物語を添え、マニフィークは保湿成分の1つとして名前を挙げるだけ、という違いがある。どちらも機能は「保湿」の範囲で示しており、物語の有無は成分の働きの差を意味しない。6位という位置も、1%を超える範囲かどうかは表示から読めず、量の比較には使わない。
4. 相性の良い・悪い成分
4.1 併用される成分
エーデルワイス花/葉エキスは単独で主役になる成分ではなく、配合例では保湿成分やほかの植物エキスと一緒に入っている。
BULK HOMMEの共通美容成分: 化粧品2品では、グリセリルグルコシド、イノシトール、リンゴ果実培養細胞エキス、兄弟成分のシスツス・シロツメクサ・クリスマム・イノノツスと同じ処方に並ぶ。マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルや糖系の保湿成分も共通している。
マニフィーク: グリセリン・BGの保湿の骨格に、ローズマリー葉エキスとセージ油が植物由来の成分として重ねられている。
4.2 注意したい組合せ
化粧品処方で避けるべき組み合わせは、本稿で確認した資料では報告されていない。実用上の注意は、成分どうしの相性よりも処方全体にある。
- 香料・精油を含む処方: 配合例は3品とも香料を含み、マニフィークにはセージ油も入る。香りに敏感な人は、植物エキスより先にこれらを確認する
- キク科植物に反応したことがある人: エーデルワイスによる皮膚炎の報告は見当たらないが(§3.1)、心配な場合は腕の内側などで試してから使う
5. 使い方
5.1 推奨される使用シーン
本成分の有無で商品を選ぶ場面は、実際にはあまりない。配合例は洗顔料・乳液・オールインワンジェルで、どれも処方の一部として入っている。
洗顔料: 洗い流す製品なので、肌に残る量は限られる。洗顔料では、泡の質や洗い上がりの感触で選ぶのが基本になる。
乳液・オールインワンジェル: 肌に残す製品で、保湿の骨格(グリセリン・BG・スクワランなど)とテクスチャーが使い心地を決める。本成分は、その上に重ねられた整肌目的の植物エキスとして見ればよい。美顔器にジェルを使う人も、見るべき点は同じである。
使い方は各商品の標準的な使い方に従えばよく、本成分のために特別な使い方をする必要はない。
5.2 期待できないこと・避けるべき使い方
- シワの改善・抜け毛予防: 原料メーカーの訴求や研究はあるが、化粧品に配合された本成分の効能として期待することはできない
- 「高山植物だから強い」という上乗せ: 厳しい環境で育つ植物の物語は、肌への働きの大きさを示さない
- 「エーデルワイス」の名前でまとめて比べること: 表示名称によって部位も作り方も違う。比べるなら名前を正確に読む
合わないと感じたら使用を中止する。
6. メンズ実用視点まとめ
メンズの成分表示でエーデルワイス花/葉エキスを見かけたら、次の3点で読むと整理しやすい。
- 花と葉のエキスで、名前ごとに範囲が違う: 同じ植物でも、花/葉/茎・花だけ・部位の記載なし・カルス培養などは別成分。成分表の名前を正確に読む
- 部外品では「エーデルワイスエキス」になる: 部外品の名前は地上部の規格品で、化粧品の同じ文字列の成分とも別。同じブランドでも化粧水と乳液で表示が変わることがある
- 物語は名前に出ない: アルプス・標高・求婚の言い伝えは、ブランドの説明であって成分表から読める情報ではない。機能は「保湿」の範囲で読む
商品を選ぶときに効いてくるのは、保湿の骨格、剤形と使い心地のほうである。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. エーデルワイス花/葉エキスはどんな成分ですか?
キク科の高山植物エーデルワイス(Leontopodium alpinum)の花と葉から得られる植物エキスです(出典: Cosmetic-Info.jp)。配合目的は皮膚コンディショニング剤で、有効成分ではありません。植物の地上部には、レオントポジン酸などのカフェ酸誘導体とフラボノイド配糖体が含まれると報告されています(出典: Phytochem Anal 2006)。
Q2. 「エーデルワイスエキス」と同じものですか?
同じとは言えません。化粧品の「エーデルワイスエキス」は部位の記載がない別の表示名称です。医薬部外品の「エーデルワイスエキス」は、地上部をエタノールで抽出してグリセリンを加えた混液として規格化された名前です(出典: Cosmetic-Info.jp / 医薬部外品原料規格2021)。どちらも花と葉に限った本成分とは範囲が一致しません。
Q3. BULK HOMMEの化粧水と乳液には、同じエーデルワイスが入っているのですか?
成分表からは分かりません。化粧品の乳液と洗顔料は「エーデルワイス花/葉エキス」、医薬部外品の化粧水 THE REPAIR LOTION は「エーデルワイスエキス」と表示されています。ブランドは両方に同じ説明文を付けていますが、使っている原料は公表していません。1つの原料が化粧品と部外品で別の名前で登録される例はあるものの、この3品に当てはまるかは確かめられません。
Q4. 「アルプスの過酷な環境で抗酸化成分を作る」なら、肌も守ってくれますか?
植物が自分の中で成分を作ることと、エキスを塗った肌で同じ働きが起きることは別の話です。抗酸化や小ジワなどは原料メーカーの試験での訴求で、化粧品に配合された本成分の効能としては示せません。商品での機能表示も「保湿成分」の範囲です。
Q5. エーデルワイス花/葉エキスは肌に安全ですか?
使用実績の中で重い刺激や感作の報告は見当たらないと整理されていますが、詳細な試験データも見当たりません(出典: 化粧品成分オンライン・二次)。米国CIRの評価対象にも見当たりません。報告が少ないことと十分に検証されていることは同じではないので、合わないと感じたら使用を中止してください。
Q6. マニフィークでは6位、BULK HOMMEでは18位や23位です。量が違うのですか?
表示位置から量は判断できません。化粧品は配合量1%以下の成分を順不同で書けるうえ、どこからが1%以下かは表示されません。植物エキスは原料の濃度や基剤も違うため、エキスの中身の量も表示からは読めません。
8. まとめ
エーデルワイス花/葉エキスは、キク科の高山植物エーデルワイス(Leontopodium alpinum)の花と葉から得られる植物エキスで、化粧品では肌を整える目的で配合される。地上部の成分としてレオントポジン酸などのカフェ酸誘導体とフラボノイド配糖体が報告されているが、含量は生育段階で大きく変わり、商品中の量は表示から読めない(出典: Phytochem Anal 2006 / Fitoterapia 2012)。
名前の出方では、化粧品表示名称が同じ植物で7つに分かれ、医薬部外品では地上部の規格品が「エーデルワイスエキス」になる。化粧品にも同じ文字列の別成分があるため、「エーデルワイスエキス」という名前だけでは区分も範囲も決まらない。BULK HOMMEでも、化粧品の洗顔料・乳液と部外品の化粧水で表示が分かれている。
ブランドが語るアルプスの物語や「共通美容成分」というまとめ方は、成分表の名前には出ない。本成分は有効成分ではなく、働きの大きさも表示から読めない。物語より表示名称を正確に読み、保湿の骨格や剤形で商品を選ぶのが実用的な理解になる。