資生堂のメンズライン SHISEIDO MEN の「ハイドレーティング ローション C」は、さっぱりとした使い心地をうたう男性向けの化粧水です。本記事では資生堂公式ブランドサイトに掲載された全成分表示をもとに、とろみを付ける成分を持たない水系の骨格、糖アルコール2種を中心とした保湿層、化粧品として配合されたグリチルリチン酸2Kの位置づけ、アルコール・香料・可溶化剤の組み合わせを表示順から整理します。効能・効果を保証するものではなく、配合成分とその役割の解説を目的としています。
SHISEIDO メン ハイドレーティング ローション Cの概要
本製品は2023年8月21日に発売された化粧水で、容量は150mL、公式サイトでの価格は税込4,400円です。区分は医薬部外品ではなく化粧品で、全成分は配合量の多い順(1%以下は順不同)に一列で表示されています。公式の使用方法は、洗顔やひげそり後に手のひらへ500円硬貨大をとり、顔全体になじませるというものです。使用感については「べたつかず、たっぷりと水分補給」「さっぱりとした使い心地」と説明され、香りはシトラスとバンブーグリーンの香りとされています。なお製品名末尾の「C」が何を意味するのかは、公式ページで説明を確認できなかったため、本記事では扱いません。
位置づけを確かめるため、メンズ向けに販売されている化粧水6本(NILE オールインワンローション、ギャツビー EXパーフェクトローション、本製品、マニフィーク モイスチュアライジング ローション、トゥヴェール バランシングGAローション、ファンケル メン オールインワン ウォーター)の全成分を突き合わせました。水と多価アルコールを土台にする骨格は6本に共通しており、違いが出たのは次の2つの層です。ひとつは増粘成分の有無で、オールインワンをうたうNILE・ギャツビー・ファンケルの3本はカルボマーやキサンタンガム、タマリンドガムといったとろみを付ける成分を含み、単品の化粧水である本製品・マニフィーク・トゥヴェールの3本は含みません。この6本の範囲では、「1本で済ませる」という名乗りの違いが、保湿成分の種類よりもとろみを持たせる層に表れているという観察になります。もうひとつはエタノール・香料・可溶化剤の組み合わせで、本製品は変性アルコールが4番目に並び、後半にエタノール、末尾に香料、ノニオン系の可溶化剤としてPPG-13デシルテトラデセス-24を持つ構成です。3点とも持たないトゥヴェールや、エタノールを使わず精油で香りを付けるファンケルとは設計の方向が異なります。本製品は、増粘成分を持たないさらりとした単品化粧水でありながら、アルコール・香料・可溶化剤はそろって配合している、という位置にあります。
価格は150mLで4,400円、1mLあたり約29円です。上記6本の中では1本あたりの価格も1mLあたりの単価も最も高く、100mLで2,750円のファンケル(1mLあたり約28円)と並ぶ一方、ギャツビー(1mLあたり約5円)やマニフィーク(同約10円)とは3〜6倍前後の開きがあります。弱みはまずこの継続コストで、化粧水を量を惜しまず使いたい人ほど負担が効いてきます。次に、変性アルコールと香料を配合している点で、アルコールや香りを避けたい人には選びにくい条件です。さらに単品の化粧水としてとろみを付ける成分を持たないため、この1本だけでスキンケアを済ませる前提の製品ではなく、乳液など次の工程を重ねる想定で読むのが自然です。
注目成分の解析
糖アルコール2種を軸にした水系の保湿層
表示の上位は、水・グリセリン・DPG・変性アルコール・PEG/PPG-14/7ジメチルエーテル・キシリトール・エリスリトールの順に並びます。グリセリンとDPGは化粧水で広く使われる多価アルコール系の保湿・溶剤成分で、DPGは変性アルコールより前に置かれています。BGも配合されていますが、表示順は中盤以降のクエン酸Naの後ろです。
この処方の保湿層で特徴的なのが、キシリトールとエリスリトールという糖アルコール2種です。どちらも水分を抱え込む方向で配合される保湿成分とされ、グリセリンのような多価アルコールとは別の系統で保湿層を厚くしている構成と読めます。その手前に並ぶPEG/PPG-14/7ジメチルエーテルも保湿・溶剤として使われる成分で、べたつきの少ない感触を狙った処方に用いられることがあるとされます。
一方で、キサンタンガムやカルボマーのようなとろみを付ける成分は表示に見当たりません。公式の「べたつかず」「さっぱりとした使い心地」という説明は、保湿成分を水系のまま重ね、粘度を持たせる層を置かない組み立てと整合します。ただし配合量は公表されていないため、使用感の良し悪しを成分表だけで判断することはできません。
化粧品として配合されたグリチルリチン酸2Kとグリシルグリシン
保湿層の直後には、グリシルグリシンとグリチルリチン酸2Kが続きます。グリチルリチン酸2Kは甘草(カンゾウ)由来の成分で、医薬部外品では有効成分として立てられることもある成分です。ただし本製品は化粧品であり、有効成分という枠はありません。ここでは肌を整える目的で配合される成分として、ほかの成分と同じ一列の表示の中に置かれています。成分名が同じでも、化粧品に配合されている場合は承認された効能を持つわけではない、という点は押さえておく必要があります。
グリシルグリシンは、アミノ酸のグリシンが2つつながったジペプチドです。化粧品では肌を整える目的で配合される成分とされ、本製品では糖アルコール2種のすぐ後ろ、表示順の上位寄りに位置しています。
植物エキスは、ゴレンシ葉エキス・ツバキ種子エキス・シソ葉エキスの3種が中盤に、カシア樹皮エキスが後半に並びます。4種とも整肌の文脈で使われるエキスです。いずれも配合量は公表されておらず、エキスの顔ぶれから製品の働きを読み取るのは控えるのが安全です。
変性アルコール・香料・可溶化剤と、品質を支える成分
変性アルコールは表示の4番目に置かれ、後半にはエタノールも並びます。公式は「敏感な男性の肌のため、アルコール感を抑え」たと説明していますが、これは使ったときの感じ方についての説明で、アルコールを配合していないという意味ではありません。表示上はアルコール類を上位に含む処方である、という事実は分けて捉えておくのが中立です。
香料は表示の末尾にあり、シトラスとバンブーグリーンの香りを担います。PPG-13デシルテトラデセス-24はノニオン系の界面活性剤で、水に溶けにくい成分を水系の処方になじませる可溶化の役割で使われる成分です。アルコールと可溶化剤、香料がそろう構成は、冒頭の6本比較でいう3点セットにあたります。
処方の安定を担う成分も確認しておきます。クエン酸Naとクエン酸はpH調整、EDTA-2Naは水中の金属イオンを封鎖するキレート剤、ピロ亜硫酸Naとトコフェロールは酸化防止、フェノキシエタノールは防腐の役割です。いずれも肌への働きを目的とした成分ではなく、製品の品質を保つために配合される成分群です。
こんな人におすすめ / 向かない人
おすすめな人
- とろみのない、さらりとした感触の化粧水を好む人
- 糖アルコール2種を軸にした水系の保湿層を持つ処方を選びたい人
- シトラス系の香りがある化粧水を使いたい人
- 化粧水の後に乳液などを重ねる前提でスキンケアを組んでいる人
向かない人
- 化粧水をたっぷり使うため、1mLあたり約29円の単価を抑えたい人
- 変性アルコールやエタノールを配合していない化粧水を条件にしたい人
- 香料を配合していない化粧水を選びたい人
- 化粧水1本でスキンケアを済ませたい人
本製品は、増粘成分を置かない水系の骨格に、糖アルコール2種とグリシルグリシン、グリチルリチン酸2Kを重ねた単品の化粧水です。そのうえでアルコール・香料・可溶化剤をそろえて配合しており、感触の軽さと香りを含めた使用感に寄せた組み立てと読めます。価格の高さと、アルコール・香料を受け入れられるかどうかが選ぶ際の分かれ目になります。
よくある質問
Q. グリチルリチン酸2Kが入っていますが、医薬部外品の化粧水と同じものですか
同じではありません。本製品は化粧品であり、医薬部外品のように効能・効果が承認された製品ではありません。グリチルリチン酸2Kは本製品では肌を整える目的で配合される成分の一つとして表示されており、配合されていることをもって特定の肌トラブルに効果があるとはいえません。
ひげ剃り後の肌は状態が不安定になりやすく、感じ方には個人差があります。しみる、赤みが出るなど肌に異常を感じた場合は使用を中止し、症状が続く場合は皮膚科など専門家への相談を検討してください。
Q. アルコールが苦手でも使えますか
本製品は変性アルコールを表示の4番目に、エタノールを後半に配合しています。公式ではアルコール感を抑えたと説明されていますが、アルコール類を含まない処方ではありません。アルコールで刺激を感じた経験がある人は、目立たない部分で試してから顔に広げるなど慎重に判断するのが現実的です。アルコールを避けること自体を条件にしている場合は、エタノールを配合していない化粧水から選ぶほうが確実です。
Q. オールインワンの化粧水と比べて何が違いますか
今回突き合わせたメンズ向け化粧水6本の範囲では、オールインワンをうたう製品はカルボマーやキサンタンガムなど、とろみを付ける成分を含んでいました。本製品はそうした成分を持たない単品の化粧水で、成分表から見ると1本で工程を完結させる設計ではありません。乳液など次の工程を重ねる前提の製品と読むのが自然です。