DHCのメンズライン「DHC MEN」から出ている「オールインワン モイスチュアジェル」は、化粧品区分の顔・体兼用ジェル美容液です。本記事ではDHC公式サイトの商品ページに掲載された全成分表示をもとに、看板成分として置かれたユビキノンの位置づけ、保湿を担う層の組み方、そして全22成分というシンプルな構成が何を意味するのかを整理します。効能・効果を保証するものではなく、配合成分とその役割の解説を目的としています。

DHC MEN オールインワン モイスチュアジェルの概要

本製品は、化粧水・乳液・美容液といった工程を1本にまとめることを想定したオールインワンタイプで、区分は医薬部外品ではなく化粧品です。したがって有効成分による効能をうたう製品ではなく、配合成分そのもので設計を語るタイプにあたります。DHCが自社の代表成分として長く前面に出してきたコエンザイムQ10、すなわち全成分表示でいうユビキノンを表示順4番目という上位に置いている点が、この製品の性格をもっとも端的に示しています。

容量は200mLで、価格はAmazonでの表示価格をもとにしたスナップショットで2,013円です。メンズのオールインワンは80〜100g前後の小容量で展開されることが多いなか、200mLという容量は大容量の部類に入り、内容量あたりの単価は軽い側に位置します。公式の位置づけも顔だけでなく体にも使える美容液とされており、乾燥が気になる部位にまとめて使える設計です。1本を顔専用として使い切る前提の製品と比べると、使う面積を広げても価格が気にならないという意味で、この容量設定は素直な強みといえます。

処方の骨格は水性です。水・BG・グリセリンという水溶性の保湿ベースで始まり、油剤らしい油剤は全成分に見当たりません。粘度は(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーというウレタン系の会合ポリマーが担い、ポリソルベート80・PEG-40水添ヒマシ油・PEG/PPG-30/10ジメチコンが可溶化と乳化を支えます。クリーム型のように油相でコクを出すのではなく、水系のジェルとして軽さを取りにいった構成と読み取れます。防腐はフェノキシエタノールが担い、エチルヘキシルグリセリンがそれを補う一般的な組み方です。

弱みも明確です。全成分は22種と、オールインワンとしてはかなりシンプルな構成にとどまります。保湿の主役であるセラミドはセラミド3の1種のみで、複数のヒト型セラミドを重ねて角層の構造に寄せていく設計ではありません。化粧品区分であるため有効成分による訴求も持たず、成分表の厚みや訴求の多層さを判断材料にしたい人には物足りなく映る可能性があります。また香料が配合されているため、無香料を条件に選びたい人は対象外になります。

注目成分の解析

ユビキノン(コエンザイムQ10)

本製品の訴求の核が、表示順4番目に置かれたユビキノンです。化粧品の全成分表示におけるユビキノンは、いわゆるコエンザイムQ10のことで、DHCがサプリメントからスキンケアまで自社の看板として扱ってきた成分でもあります。この製品でも、水・BG・グリセリンという基剤の直後という上位に置かれており、ブランドとして何を主役に据えているかが表示順から読み取れる構成です。

化粧品に配合されるユビキノンは、酸化防止の文脈で語られることが多い成分です。ただし化粧品は効能を名乗れる区分ではないため、ここでいう役割はあくまで処方上の位置づけの説明であり、肌の老化を止める、若返るといった結果を意味するものではありません。ユビキノンは脂溶性で単体では水に溶けにくい性質を持つため、水系のジェルに載せるには可溶化の工夫が要ります。本製品でポリソルベート80やPEG-40水添ヒマシ油といったノニオン系の可溶化剤が並んでいるのは、この成分を水性処方に安定して収めるための構成として整合します。看板成分を上位に置きつつ、それを支える基剤側も揃えた設計といえます。

セラミド3・加水分解コラーゲン・チューベロース多糖体の保湿層

保湿の中核を担うのがこの3成分です。セラミド3は、化粧品表示名でいうセラミドNPに相当するヒト型セラミドで、角層の細胞間脂質と同じ骨格を持つ成分として保湿の文脈で配合されます。本製品ではセラミド類はこの1種のみで、複数種を重ねる構成ではありませんが、水系ジェルにセラミドを1枚入れているという点は、シンプルな全成分のなかでは意図の見える配置です。

加水分解コラーゲンは、コラーゲンを低分子化して水に馴染みやすくした保湿成分で、肌表面で水分を抱える役割を担います。チューベロース多糖体は月下香の培養細胞に由来する多糖で、こちらも保水を目的に配合される成分です。加えて、グリセリン・BG・DPGといった多価アルコール系の保湿剤と、トレハロースが水性の保湿ベースを構成しています。油剤で膜を作って水分の逃げ道をふさぐタイプではなく、水を抱える成分を重ねて角層のうるおいを保つ方向に振った設計と読むのが妥当でしょう。裏を返せば、強い乾燥に対して油分でふたをしたい場面では、クリームなど別のアイテムを重ねる余地があります。

ペンタペプチド-18・メバロノラクトンなどの整肌層

保湿層の上に、整肌を目的とした成分が薄く重ねられています。ペンタペプチド-18は5つのアミノ酸からなるペプチドで、スキンケア製品では肌の状態を整える目的で配合される成分です。メバロノラクトンは角層のコンディションに関わる文脈で使われる成分で、いずれも表示順は中盤に位置します。

植物由来ではウメ果実エキスとチャ葉エキスが並びます。前者は保湿・整肌、後者はチャ(茶)の葉から得られるエキスで、いずれもスキンケアで広く使われる素材です。ここで押さえておきたいのは、これらがいずれも化粧品のその他の成分として配合されている点で、有効成分ではないということです。配合量も公表されておらず、表示順から相対量を正確に読み取ることもできません。したがってこの層は、製品の骨格を決める要素というより、ユビキノンと保湿層を核とした設計に幅を持たせる補助的な位置づけとして捉えるのが実態に近いといえます。

こんな人におすすめ / 向かない人

おすすめな人

  • スキンケアの工程を1本にまとめ、手間を最小限にしたい人
  • 顔だけでなく、腕や脚など体の乾燥にも同じ1本を使いたい人
  • 大容量で内容量あたりの単価を抑えたオールインワンを探している人
  • 油分の多いクリームより、水系で軽い使用感のジェルを好む人

向かない人

  • ヒト型セラミドを複数種重ねた、保湿骨格の厚い処方を求める人
  • 医薬部外品の有効成分による訴求を選ぶ条件にしている人
  • 無香料の製品を条件に選びたい人
  • 化粧水・美容液・乳液を個別に選び、工程ごとに調整したい人

オールインワンは工程を減らせる代わりに、各工程を個別最適する自由度は下がります。本製品はその割り切りに加えて、全22成分というシンプルな構成と大容量・低単価という組み合わせを選んだ製品です。成分表の厚みで納得したい人には向きませんが、顔も体もまとめて手早く済ませたい人にとっては扱いやすい設計といえます。使用感や肌への合い方には個人差があるため、心配な場合は目立たない部分で試してから使うとよいでしょう。

よくある質問

Q. この1本でスキンケアは完結しますか

オールインワンは複数の工程を1本にまとめることを想定した製品形態で、本製品も化粧水・乳液・美容液を兼ねる位置づけです。ただし処方は水系のジェルで油剤がほとんど入っていないため、乾燥の程度や季節によっては上からクリームなどを重ねる調整が要る場合があります。またUV防御の機能はないため、日焼け止めは別途必要です。

Q. コエンザイムQ10が入っていると何が違いますか

全成分表示のユビキノンがいわゆるコエンザイムQ10にあたり、本製品では表示順4番目という上位に置かれています。ただし本製品は化粧品区分であり、この成分によって特定の効能を名乗れる製品ではありません。配合量も公表されていないため、成分名の有無だけを効果の根拠として扱うのは適切ではなく、ブランドが何を主役に据えて設計したかを示す指標として読むのが妥当です。

Q. 顔と体で使い分けは必要ですか

本製品は顔・体の両方に使える美容液として展開されているため、部位ごとに製品を替える前提の設計ではありません。ただし体は面積が広く消費量も増えるため、顔に使う量を確保したうえで配分するのが現実的です。肌に異常を感じた場合は使用を中止し、必要に応じて専門家に相談してください。