メンズコスメのD2Cブランド NULLが展開する「MENS NULL 薬用オールインワンジェル モイストタイプ」は、有効成分にナイアシンアミドとグリチルリチン酸ジカリウムを据えた医薬部外品のオールインワンジェルです。本記事では、公表されている成分情報をもとに、有効成分2種の位置づけ、医薬部外品の表示名で並ぶ保湿成分の読み解き方、植物エキスを重ねた整肌層の組み方を整理します。効能・効果を保証するものではなく、配合成分とその役割の解説を目的としています。

MENS NULL 薬用オールインワンジェル モイストタイプの概要

本製品は、化粧水・乳液・美容液といった工程を1本にまとめることを想定したオールインワンジェルで、区分は医薬部外品です。同シリーズにはさっぱり系の展開もあり、本記事で扱うのは名称のとおり保湿に寄せたモイストタイプにあたります。オールインワンは工程を束ねる商品であるため、どこで差をつけるかは製品ごとに分かれますが、本製品は区分そのもので立てる設計です。すなわち、有効成分を持つ医薬部外品として承認された効能を名乗れる位置に自分を置き、そのうえで保湿成分を重ねるという順序で組まれています。

価格は実勢で3,259円前後です。ドラッグストア流通の医薬部外品オールインワンが1,000円台から手に入ることを踏まえると、D2Cブランドらしく相応の価格帯にあり、成分構成の物量だけでこの差を説明できるかというと、そこは判断が分かれるところです。ブランド運営や販路のコストが価格に乗っている面もあり、価格の妥当性は成分表だけでは決まりません。

もうひとつ、購入前に知っておきたい条件があります。ブランド公式サイト(mens-null.net)の商品ページに掲載されているのは有効成分2種の名称のみで、その他の成分を含む全成分表示は公開されていません。本記事が参照している成分情報は、大手小売であるハンズの公式ECに掲載された成分表示です。医薬部外品には全成分を表示する義務がありますから、店頭でパッケージを見れば確認できる情報ではあります。ただ、オンラインで比較検討する読者から見ると、メーカー自身が一次情報として全成分を出していない状態は、他社製品と同じ土俵で成分を突き合わせにくいという意味を持ちます。よってこの記事では、成分に関する記述は「公表されている成分情報によれば」という前提のもとで、断定を避けて進めます。

注目成分の解析

有効成分2種(ナイアシンアミド・グリチルリチン酸ジカリウム)

本製品の性格をもっとも規定しているのが、医薬部外品の有効成分を2種持つ点です。ナイアシンアミドはビタミンB3の一種で、医薬部外品の有効成分としては、メラニンの生成を抑えてシミ・そばかすを防ぐ目的、シワを改善する目的、肌あれを防ぐ目的といった複数の文脈で承認例がある成分です。ただし、ある製品がそのうちどの効能で承認を受けているかは製品ごとに異なり、本製品について承認された効能の内訳は公表情報からは確認できません。ここでは、有効成分としてナイアシンアミドを筆頭に置いた設計である、という事実にとどめて読むのが妥当です。

もうひとつのグリチルリチン酸ジカリウムは甘草由来の成分で、肌あれ・あれ性を防ぐ目的で幅広い医薬部外品に使われています。ひげそり後や乾燥で肌がゆらぎやすい状況を想定するメンズ向けオールインワンとは、目的の面で素直に噛み合う組み合わせです。なお医薬部外品の有効成分は承認された効能の範囲ではたらくものであり、肌あれが起きなくなる、シミが消えるといった結果を保証するものではありません。配合量も公表されておらず、有効成分は表示上その他の成分と分けて先頭に置かれる形式のため、表示順から量の多寡を読み取ることもできません。

部外品表示名で並ぶセラミド類似成分とコラーゲン系

保湿層でまず目を引くのが、N‐ステアロイルジヒドロスフィンゴシンとN‐ステアロイルフィトスフィンゴシンの2つです。見慣れない名前に映りますが、これは医薬部外品の表示名称で書かれているためで、化粧品の表示でいうセラミドNG、セラミドNPにあたる成分です。角層の細胞間脂質を構成するセラミドと同じ骨格を持つ、いわゆるヒト型セラミドに相当する系統で、水分を挟み込む層をつくることで保湿を担う目的で配合されます。医薬部外品では成分表が部外品表示名称に置き換わるため、化粧品側の表記に慣れた読者からは同じ成分が別物のように見えるという、区分に由来する読みにくさがここに出ています。同じ理由で、水は精製水、グリセリンは濃グリセリン、BGは1,3ブチレングリコールという名前で並びます。

もう一系統がコラーゲン由来の成分群です。コラーゲン・トリペプチドF、加水分解コラーゲン液(4)、加水分解コラーゲン末、水溶性コラーゲン(F)と、分子量や形態の異なるものが複数入っています。いずれも肌の内部でコラーゲンになるわけではなく、肌表面で水分を抱えて保湿を担う成分として配合されるものです。これに加えてヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウムが入っており、これはヒアルロン酸にカチオン(プラス電荷)を持たせた誘導体で、マイナスに帯電しやすい肌表面に留まりやすいとされる系統です。保湿を、セラミド類似の脂質側と、コラーゲン・ヒアルロン酸という水を抱える側の両方から組んでいる構成と読めます。

植物エキスを多層に重ねた整肌層

有効成分と保湿骨格の上に、植物エキスが薄く広く重ねられています。公表されている成分情報によれば、アーティチョークエキス、アルモンドエキス、オウゴンエキス、キウイエキス、タイムエキス(1)、ビルベリー葉エキス、ユキノシタエキスと、7種の植物エキスが名を連ねます。いずれもその他の成分としての配合で、整肌を目的に用いられる系統です。あわせてリン酸L‐アスコルビルマグネシウム(ビタミンC誘導体)、d‐δ‐トコフェロール(ビタミンE)も同じ層に置かれています。

この重ね方には、読む側として押さえておきたい点があります。植物エキスは種類が多いほど成分表が豊かに見えますが、その他の成分は表示順が定められた形式ではあっても配合量そのものは公表されず、1種あたりの量は多くないのが一般的です。したがって、エキスの種類数は製品の方向性を示す指標として読むのが妥当で、それ自体を効き目の根拠として扱うものではありません。本製品の骨格はあくまで有効成分2種と保湿層にあり、この整肌層は設計の意図と使用感を補う位置づけと捉えるのが自然です。テクスチャー側は、カルボキシビニルポリマーとキサンタンガム、ポリエチレングリコール20000で粘度を作りつつ、ホホバ油、メドウフォーム油、トリ2‐エチルヘキサン酸グリセリル、メチルフェニルポリシロキサンといった油剤を控えめに乗せた、モイストタイプらしいジェル寄りの構成と読み取れます。

こんな人におすすめ / 向かない人

おすすめな人

  • スキンケアの工程を1本にまとめたい、手間を最小限にしたい人
  • 保湿だけでなく、肌あれ防止まで含めて1本に求める人
  • ひげそり後の乾燥やつっぱりが気になり、しっとりめの使用感を選びたい人
  • セラミド類似成分とコラーゲン系の両方を含む保湿構成を重視する人

向かない人

  • ベタつきを避け、さっぱりした仕上がりを最優先したい人
  • 化粧水・美容液・乳液を個別に選び、工程ごとに調整したい人
  • 同価格帯でより多くの容量やコスパを重視する人
  • メーカー公式が全成分を開示している製品から選びたい人

オールインワンは工程を減らせる代わりに、各工程を個別最適する自由度は下がります。本製品は有効成分2種という区分の強みを軸に、セラミド類似成分・コラーゲン系・植物エキスを重ねた設計ですが、公式が全成分を出していないぶん、他社製品と横並びで比較しようとすると一手間かかります。時短と有効成分を優先するか、開示の手厚さや価格の納得感まで含めて選ぶかで、判断が分かれる製品といえます。なお肌に合うかどうかには個人差があるため、不安がある場合は目立たない部分で試してから使うことをおすすめします。

よくある質問

Q. この1本でスキンケアは完結しますか

オールインワンは複数の工程を1本にまとめることを想定した製品形態であり、本製品も化粧水・乳液・美容液を兼ねる位置づけです。ただし乾燥の程度や季節によっては化粧水を先に重ねるなどの調整が要る場合があり、1本で足りるかは使用感を見ながら判断するのが現実的です。なお本製品にUV防御の機能はないため、日焼け止めは別途必要です。

Q. セラミドは入っていますか

公表されている成分情報によれば、N‐ステアロイルジヒドロスフィンゴシンとN‐ステアロイルフィトスフィンゴシンが配合されています。これは医薬部外品の表示名称で、化粧品の表示でいうセラミドNG、セラミドNPに相当する成分です。医薬部外品は成分表の書き方が化粧品と異なるため、「セラミド」という語で探すと見つからないだけで、系統としては含まれていると読めます。ただし配合量は公表されていません。

Q. 公式サイトに全成分が載っていないのはなぜですか

理由はメーカーから示されておらず、本記事で断定はできません。事実として言えるのは、ブランド公式サイトの商品ページには有効成分2種のみが掲載され、その他の成分を含む全成分表示は小売の商品ページやパッケージで確認する必要がある、という点です。成分を細かく比較して選びたい場合は、購入前に販売ページの成分表示欄を確認するか、店頭でパッケージの表示を見るのが確実です。